退職時の社会保険・年金・税金の手続きガイド
IT転職の退職・入社準備ガイド
退職時の社会保険・年金・税金の手続きガイド
会社を退職することは、人生の大きな転機です。しかし退職時には、社会保険、年金、税金に関する複雑な手続きが待っています。これらの手続きを期限までに正確に完了しなければ、後で大きなトラブルが発生する可能性があります。本ガイドでは、退職時に必要なすべての手続きを、わかりやすく解説していきます。
退職時に必要な手続きの全体像
退職時には、大きく分けて4つの重要な手続きが存在します。それぞれに異なる期限と対応方法があるため、スケジュール管理が非常に重要です。
退職を決めてから実際に退職するまでの間に、各手続きの内容を理解し、必要な書類を準備することをお勧めします。不明な点は、会社の人事部門や各機関に事前に相談することで、スムーズな退職手続きが実現できます。
社会保険(健康保険・厚生年金)の資格喪失手続き
会社に勤務している間、従業員は健康保険と厚生年金に加入しています。退職すると、これらの保険の加入資格を失うため、会社と従業員の双方で手続きが必要になります。

会社が行う手続き
退職の翌日から5日以内に、事業所を管轄する年金事務所へ「健康保険・厚生年金被保険者資格喪失届」と本人及び扶養家族分の健康保険証を提出する必要があります。この手続きを怠ると、罰金が課せられる可能性があるため、会社は厳密に期限を守る必要があります。
退職者が受け取る書類
会社は退職者に対して、以下の書類を交付する責任があります。これらの書類は、その後の手続きで重要な役割を果たすため、安全に保管しましょう。
- 健康保険被保険者資格喪失確認通知書:新しい保険に加入する際に必要
- 源泉徴収票(給与・賞与分):年末調整や確定申告に必要
- 離職票-1、2:失業保険の申請に必要
また、健康保険資格喪失証明書が必要な場合は、社会保険の資格喪失手続き後に発行申請をすることで受け取ることができます。
国民年金への切り替え手続き
退職後、被扶養者にならない場合は、厚生年金から国民年金への切り替えが必須です。この手続きを忘れると、年金納付の空白期間が生じ、将来の年金受給額が減少する可能性があります。

切り替えの期限と手続き方法
国民年金への切り替え手続きは、退職日から14日以内に、住民登録している市区町村役場の国民年金担当窓口で行う必要があります。郵送での手続きも可能な自治体が多いため、忙しい場合は事前に確認しましょう。
必要な書類
手続きに際して、以下の書類が必要になります。退職前に用意することで、スムーズな手続きが可能です。
必須書類 | 用途・説明 |
|---|---|
基礎年金番号がわかる書類 | 年金手帳や基礎年金番号通知書 |
退職証明書または離職票 | 社会保険の資格喪失を証明するもの |
マイナンバーカード | 本人確認のため |
健康保険資格喪失証明書 | 新しい手続きで必要な場合 |
身分証明書 | 運転免許証やパスポート等 |
転職する場合の例外
同じ月に退職して転職する場合は、原則として国民年金への切り替え手続きは不要です。転職先の企業が厚生年金への加入手続きを行うため、空白期間が生じません。ただし、月をまたいで転職する場合は、空白期間を埋めるために国民年金への加入手続きが必要になります。
健康保険の加入選択
退職により社会保険から脱退した後、新しい健康保険に加入する必要があります。選択肢としては、3つの主要な方法があります。
3つの加入方法とその選択基準
1. 国民健康保険への加入:個人事業主や退職者が対象で、市区町村役場で手続きします。保険料は前年度の所得に基づいて計算されます。
2. 任意継続健康保険:退職前に2ヶ月以上社会保険に加入していた人が利用でき、退職後20日以内に手続きが必要です。保険料は固定額で計算されるため、高所得者に有利です。
3. 家族の被扶養者になる:年間収入130万円未満などの要件を満たす場合、配偶者や親の保険に被扶養者として加入できます。この場合、本人の保険料負担はありません。
これらの選択は、個人の経済状況や今後のキャリア計画によって異なります。各選択肢のメリット・デメリットを十分に比較検討しましょう。
税金に関する手続きと確定申告
退職時の税金手続きは、その後の人生に大きな影響を与える可能性があります。源泉徴収票と確定申告について、正確な理解が必要です。

源泉徴収票の受け取り
会社は、退職日から1か月以内に退職者に源泉徴収票を交付する義務があります。この書類は、転職先への提出や確定申告で必須です。もし会社が交付を拒否した場合は、納税地等を所轄する税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を提出して相談することができます。
源泉徴収票には、1年間の給与総額、天引きされた税金額、社会保険料控除額などの重要な情報が記載されています。必ず内容を確認し、誤りがあれば会社に報告してください。
確定申告が必要な場合
年の途中で退職し、その後再就職しなかった場合、所得税を納めすぎていることがほとんどです。この場合、翌年の2月16日から3月15日の期間(曜日により前後)に確定申告を行うことで、過納分が還付されます。
還付される金額は、以下の要因によって異なります。
- 退職から年末までの無職期間の長さ
- 退職金の有無と金額
- 社会保険料控除額
- その他の控除対象経費
複数社に勤務した後に退職した場合、すべての源泉徴収票を確定申告時に提出する必要があります。
退職金に関する税務
退職金を受け取った場合、会社は「退職所得の源泉徴収票」を交付する義務があります。退職金に関する「退職所得の受給に関する申告書」を事前に提出した場合、退職所得控除が適用されるため、通常は確定申告は不要です。
ただし、この申告書を提出していない場合は、退職金から一律20.42%が源泉徴収されることになります。多額の退職金を受け取る予定がある場合は、事前に会社の人事部に相談することをお勧めします。
雇用保険(失業保険)の手続き
会社を離職した場合、雇用保険の資格喪失手続きが必要です。同時に失業給付の申請も検討しましょう。

雇用保険資格喪失手続きの期限
会社は、従業員の退職日から10日以内に、管轄のハローワークへ「雇用保険被保険者資格喪失届」を提出する必要があります。これにより、公式に雇用保険の被保険者資格が喪失されます。
失業給付(失業保険)の申請
会社から「離職票-1」と「離職票-2」を受け取ったら、ハローワークで失業給付の申請ができます。申請期限は、離職日の翌日から1年間です。
失業給付を受け取るには、以下の要件を満たす必要があります。
- 離職日以前2年間に、雇用保険加入期間が12ヶ月以上ある
- 退職理由が「自己都合」か「会社都合」かで給付日数が異なる
- 各種講習への参加や求職活動が要件となる場合がある
失業給付の対象期間や給付金額は、加入期間と退職理由によって大きく異なるため、ハローワークで詳しく相談することをお勧めします。
退職手続きのチェックリストと期限管理
退職時には、多くの手続きが並行して進行します。各手続きの期限を確認し、計画的に進めることが成功の鍵です。
手続き内容 | 期限 | 提出先 | 備考 |
|---|---|---|---|
社会保険資格喪失届 | 5日以内 | 年金事務所 | 会社が提出 |
雇用保険資格喪失届 | 10日以内 | ハローワーク | 会社が提出 |
国民年金加入 | 14日以内 | 市区町村役場 | 本人が提出 |
健康保険選択 | 20日以内 | 各機関 | 本人が選択・提出 |
源泉徴収票受取 | 1ヶ月以内 | 会社から受取 | 転職・確定申告に必須 |
失業給付申請 | 1年以内 | ハローワーク | 要件確認が重要 |
確定申告 | 2月16日~3月15日 | 税務署 | 年途中退職の場合 |
各手続きは異なる機関で行う必要があるため、事前に必要書類をまとめ、スケジュール表を作成することをお勧めします。
よくある質問と注意点
手続きを期限内に完了できなかった場合はどうなるのか
手続きの遅れは、年金納付の空白期間や健康保険の未加入期間を生じさせます。これにより、将来の年金受給額が減少したり、医療費を全額自己負担しなければならないことになります。万が一遅れた場合は、すぐに各機関に相談し、補完手続きを進めましょう。
転職先が決まっていない場合の対応
転職先が決まっていない場合でも、国民年金と国民健康保険への加入は必須です。遅延せず、速やかに手続きを完了してください。失業給付の申請により、最大で数ヶ月間の経済的サポートを受けることができます。
派遣社員やアルバイトの場合
派遣社員やアルバイトであっても、雇用保険加入期間が12ヶ月以上あれば、失業給付の対象になります。また、2ヶ月以上社会保険に加入していれば、任意継続健康保険の対象です。会社に確認して、自分がどの手続きの対象かを把握しましょう。
参考資料と相談窓口
各手続きについて、不明な点がある場合は、以下の機関に相談できます。
- 年金事務所:厚生年金と国民年金に関する手続き
- https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/kanyu/20140710-04.html
- ハローワーク:失業保険と求職に関する手続き
- https://www.freee.co.jp/kb/kb-payroll/resignation-procedure/
- 税務署:確定申告と税金に関する相談
- https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hotei/7421.htm
- 市区町村役場:国民年金と国民健康保険の手続き
各機関では、専門の職員が丁寧に対応してくれます。わからないことはそのままにせず、積極的に相談することをお勧めします。
まとめ
退職時の社会保険、年金、税金に関する手続きは、複雑で期限が厳しいものばかりです。しかし、これらの手続きは、退職後の生活の安定を確保するために非常に重要なものです。本ガイドで紹介した内容を参考に、計画的に手続きを進め、不明な点は各機関に相談することで、スムーズな退職ができるでしょう。
特に、国民年金への切り替えと健康保険の選択は、将来の人生に大きな影響を与える決断です。焦らず、十分に検討してから判断することをお勧めします。また、転職が決まっている場合でも、転職先での手続きがスムーズに進むよう、前職の手続きを完了させておくことが重要です。



