IT転職の失業保険(雇用保険)の受給方法と注意点
IT転職の退職・入社準備ガイド
IT転職の失業保険(雇用保険)の受給方法と注意点
IT業界への転職を検討している方の中には、現在の企業から退職することになります。その際に重要な制度が「失業保険(雇用保険の基本手当)」です。正しく理解して申請すれば、転職活動中の生活費をサポートする大切な制度です。本記事では、IT転職の完全ガイド【未経験からエンジニアへ】で紹介する転職プロセスの中でも特に重要な失業保険について、詳しく解説します。詳しくはdoda - 失業手当についてやfreee - 失業保険についてをご参照ください。

失業保険(雇用保険)の基本知識
失業保険とは、雇用保険に加入している労働者が失業した際に、再就職までの間、生活費をサポートする制度です。法律上の正式名称は「雇用保険の基本手当」ですが、一般的には「失業保険」や「失業手当」と呼ばれています。
失業保険の目的と対象者
失業保険は単に失業者に給付金を支給するだけでなく、早期の再就職を促進することを目的としています。ハローワークに求職申し込みをし、積極的に職業訓練や求人応募などの求職活動を行う必要があります。
IT転職において、企業から離職した場合、雇用保険に加入していた方であれば受給の対象となる可能性があります。ただし、転職先がすでに決まっている場合や、自営業に転職する場合など、失業状態にない場合は受給できません。

IT転職時の失業保険受給条件
失業保険を受給するには、いくつかの条件を満たす必要があります。これらの条件を理解することで、受給漏れや不正受給を防ぐことができます。
受給に必要な被保険者期間
最も基本的な条件は、失業前の2年間に雇用保険の被保険者期間が通算して12ヶ月以上あることです。これはIT企業で正社員として1年以上勤務していた場合、ほとんどのケースで満たされます。
ただし、短期間の雇用契約を何度も繰り返していた場合でも、合計期間が12ヶ月に達していれば対象になります。
失業状態の定義
失業保険の受給には「失業状態」であることが必須条件です。失業状態とは以下の条件をすべて満たす状態です:
- 労働する意思がある
- 労働する能力がある(健康状態や家庭環境に問題がない)
- 積極的に求職活動を行っている
- 職に就いていない状態
すなわち、転職先が既に決まっている場合や、新しい企業での出勤予定日が決まっている場合は、失業状態とは見なされず、受給資格がありません。
失業保険の給付期間と給付金額
IT転職での受給期間と金額は、離職理由や勤続年数によって異なります。詳細はマイナビ転職 - 失業保険についてやハローワーク公式で確認できます。
自己都合退職の場合
IT企業からの退職が自分の意思である場合(キャリアアップ目的の転職など):
- 勤続期間1年以上10年未満:給付日数は90日
- 勤続期間10年以上20年未満:給付日数は120日
- 勤続期間20年以上:給付日数は150日
ただし、自己都合退職の場合、7日間の待機期間に加えて、2ヶ月の給付制限期間があります。つまり、離職日からカウントして、最短でも7日+2ヶ月=約2ヶ月後から給付が開始されることになります。
会社都合退職の場合
企業からのリストラや解雇など、会社の事情による離職の場合:
- 勤続期間1年未満:給付日数は30日
- 勤続期間1年以上5年未満:給付日数は90日
- 勤続期間5年以上10年未満:給付日数は120日
- 勤続期間10年以上20年未満:給付日数は150日
- 勤続期間20年以上:給付日数は210日
会社都合の場合、7日間の待機期間後、すぐに給付が開始されます(給付制限なし)。
給付金額の計算
失業保険の日額は、退職前6ヶ月間の給与(賞与は除く)を180日で除算した額に、45~80%を掛けた金額になります。例えば、月給30万円のIT技術者の場合、日額は約3,000~5,000円程度になる傾向があります。
月給 | 推定日額(50%) | 推定日額(80%) | 90日給付時の総額 |
|---|---|---|---|
20万円 | 約3,333円 | 約5,333円 | 約300,000~480,000円 |
30万円 | 約5,000円 | 約8,000円 | 約450,000~720,000円 |
40万円 | 約6,667円 | 約10,667円 | 約600,000~960,000円 |
50万円 | 約8,333円 | 約13,333円 | 約750,000~1,200,000円 |
IT業界の給与水準は比較的高めなため、給付金額も一般的な職種より多くなる傾向があります。
2025年4月からの失業保険制度改正
失業保険制度は2025年4月より大幅に改正されます。IT転職を検討している方は、この改正内容をしっかり理解することが重要です。詳しくは日本の雇用保険改正情報をご参照ください。
給付制限期間の短縮
最も大きな変更点は、自己都合退職の給付制限期間が2ヶ月から1ヶ月に短縮されることです。これにより、IT転職をしたい方は、従来より1ヶ月早く失業保険の給付を受け取ることができるようになります。
2025年3月までの離職:7日待機期間 + 2ヶ月給付制限 = 約2.5ヶ月後に給付開始 2025年4月以降の離職:7日待機期間 + 1ヶ月給付制限 = 約1.5ヶ月後に給付開始
教育訓練による給付制限の解除
2025年4月以降、以下の条件を満たす場合、給付制限期間が解除されます:
- 離職日前1年以内、または離職日以後に「雇用の安定・就職促進のための教育訓練」を受けた場合
- ハローワークが指定する教育訓練講座を受講すること
- IT関連のスキルアップ講座やプログラミング研修なども該当する可能性があります
つまり、IT技術者の場合、最新のプログラミング言語やクラウド技術の研修を受けることで、給付制限をスキップできる可能性があります。
IT転職時の失業保険申請手続き
失業保険を受給するには、退職後、自分自身でハローワークに申請する必要があります。手続きは以下の流れで進みます。
ステップ1:離職票の入手
企業から退職日までに「離職票」を受け取ります。この書類には、給与や雇用保険加入期間など重要な情報が記載されています。通常、企業は退職から10日以内に離職票を郵送します。
紛失や遅れがある場合は、ハローワークに問い合わせることで再発行してもらえます。
ステップ2:ハローワークで求職申し込み
住所地を管轄するハローワークの窓口に行き、求職の申し込みを行います。必要な書類は以下の通りです:
- 離職票
- 印鑑
- 写真(4×3cm程度)
- マイナンバーカードまたは通知カード
- 本人確認書類(運転免許証など)
- 銀行口座のわかる書類(振込先指定用)
求職申し込みの際に、ハローワークの職員と今後の就職活動方針について相談します。IT転職の場合、職務経歴書やスキルについても説明すると、適切な求人を紹介してもらいやすくなります。
ステップ3:受給資格決定
ハローワークが書類を審査し、失業保険の受給要件を満たしているか判定します。この決定までに約2週間から1ヶ月かかる場合があります。
受給資格が決定されると「雇用保険受給資格者証」を受け取ります。この証書がなければ失業認定を受けられないため、大切に保管してください。
ステップ4:初回説明会への参加
ハローワークから指定された日時に「雇用保険受給者初回説明会」に参加する必要があります。この説明会では:
- 雇用保険制度の概要
- 今後の手続きフロー
- 求職活動の方法
- 給付金の支給日程
などが説明されます。欠席すると手続きが進まず、給付が遅れるため、必ず参加しましょう。
ステップ5:失業認定と給付金振込
初回説明会の後、原則として4週間ごとに失業認定日が設定されます。その日にハローワークに行き、求職活動の実績を報告します。
実績報告の際は「失業認定申告書」に以下を記入します:
- ハローワークでの求人閲覧・相談
- 企業への直接応募や面接
- 転職エージェントでのカウンセリング
- オンライン講座やセミナーの受講
- 資格試験の受験
これらの活動実績が認定されると、給付金がお持ちの銀行口座に振り込まれます。振込は通常、認定日から数日以内に完了します。
IT転職での失業保険受給時の注意点
失業保険を正しく受給するために、特に注意すべき点があります。
求職活動実績の重要性
失業保険を受け続けるには、毎回の失業認定の際に一定の求職活動実績を示す必要があります。具体的には:
認定される求職活動:
- ハローワークでの職業相談・求人紹介を受ける
- 企業への書類応募や面接受験
- 転職エージェントとのカウンセリング
- オンライン講座やスキルアップセミナーの受講
- 資格試験(基本情報技術者試験など)の受験
- 企業説明会への参加
認定されない活動:
- インターネットでの求人閲覧のみ
- 知人に仕事を紹介してもらうと言うだけ(実際の応募なし)
- 個人的な勉強や自己学習
つまり、「ハローワークで求人をチェックした」だけではなく、「実際に応募した」ことを証明する必要があります。
虚偽申告と不正受給のリスク
失業認定申告書に虚偽の申告をしたり、職に就いたのに報告しない場合、以下の処分が行われます:
- 返金命令:違法に受け取った給付金の全額返金
- 加算金:返金額に加えて、納付期限の翌日から年8.8%の加算金が発生
- 詐欺罪に問われる可能性:悪質な場合は刑事罰の対象
IT業界でキャリアを築く上で、このようなトラブルは避けるべきです。正直に報告することが重要です。
転職先の決定報告
転職先が決まったら、すぐにハローワークに報告する必要があります。出勤予定日の前に報告することで、その日以降の失業保険の給付は停止されます。
報告が遅れて給付を受け続けた場合は、不正受給となるため注意が必要です。
失業保険と在職中の兼ね合い
現職を続けながら転職活動をしている場合、失業状態ではないため失業保険は受給できません。失業保険を申請するなら、現在の企業から正式に退職する必要があります。
一方、企業側が了承する場合の有給休暇消化中であっても、その期間は給与が発生している(失業状態ではない)と見なされるため、失業保険は受給できません。
失業保険以外のIT転職支援制度
失業保険の他にも、IT転職の完全ガイド【未経験からエンジニアへ】で詳しく解説しているように、転職活動を支援する各種制度があります。
教育訓練給付制度
ハローワークが指定する教育訓練講座を受講する際、受講費用の最大70~80%が給付される制度です。IT技術者向けのプログラミング講座や、クラウド資格取得講座など多数が対象です。
職業訓練校
ハローワークを通じて職業訓練校に通うことで、ITスキルを習得しながら、生活費の一部が支給される場合があります。
転職エージェントの支援
IT転職エージェント徹底比較【おすすめランキング】で紹介しているように、専門の転職エージェントを利用することで、職業紹介を通じた効率的な転職が可能になります。
これらの制度を組み合わせることで、より充実した転職活動を実現できます。
IT転職での失業保険活用戦略
失業保険を活用して、転職活動を有利に進めるための戦略を紹介します。
計画的な退職タイミング
失業保険の給付期間を最大限活用するため、退職のタイミングを慎重に検討しましょう。
- 自己都合退職の場合、最短2ヶ月(2025年4月以降は1.5ヶ月)後から給付が開始されることを念頭に置く
- 転職先の内定時期を考慮して、失業保険の申請日を決める
- 給付制限期間中の生活費をあらかじめ確保しておく
スキルアップと給付制限の解除
2025年4月からの改正で、教育訓練を受けることで給付制限が解除されます。この制度を活用して:
- IT関連の認定講座を受講する(給付制限をスキップ)
- 新しいプログラミング言語やフレームワークを習得する
- クラウド技術(AWS、Azureなど)の資格を取得する
これにより、スキルアップしながら給付金を受け取ることができます。
求職活動実績の確保
失業認定時に問題が生じないよう、計画的に求職活動実績を確保しましょう:
- 毎週最低2~3社に応募する
- 定期的にハローワークに訪問して職業相談を受ける
- IT転職の面接対策完全マニュアルで紹介する面接対策を受ける
- IT転職の履歴書・職務経歴書の書き方ガイドを参考に、応募書類を充実させる
よくあるご質問
Q1:転職先が決まった場合、失業保険は受け取れますか?
A:受け取ることはできません。失業保険は「失業状態」が条件です。新しい企業の出勤予定日が決まっている場合、その時点で失業状態ではなくなるため、失業保険の給付は停止されます。ただし、出勤前の有給休暇消化期間でも給与が発生している場合は同様です。
Q2:現在の企業で働きながら失業保険を受けることはできますか?
A:できません。失業保険は失業状態が条件のため、現在の企業に在籍している限り受給できません。失業保険を受けるには、現在の企業から正式に退職する必要があります。
Q3:失業保険の申請期限はありますか?
A:あります。退職日から2年以内にハローワークで受給資格決定を申請する必要があります。ただし、給付を受ける期間は受給資格決定から1年(給付期間内)です。退職後できるだけ早く申請することをおすすめします。
Q4:IT業界での短期転職が多い場合、失業保険は受けられますか?
A:過去2年間の雇用保険被保険者期間が通算12ヶ月以上あれば受給できます。複数の企業での勤続期間を合計しても12ヶ月以上であれば対象となります。
まとめ
IT転職における失業保険(雇用保険の基本手当)は、退職後の転職活動を経済的にサポートする重要な制度です。以下の要点を押さえておきましょう:
- 受給条件:過去2年間に雇用保険被保険者期間が通算12ヶ月以上あることが基本
- 給付期間:自己都合退職なら90~150日(勤続年数による)
- 給付制限:2025年4月以降、自己都合退職の給付制限期間が2ヶ月から1ヶ月に短縮
- 手続き:ハローワークでの求職申し込みが必須
- 注意点:求職活動実績がなければ給付が停止される
計画的に失業保険を活用し、IT転職の年代別攻略ガイド【20代・30代・40代】やIT企業の種類と選び方【SIer・Web系・SES】などを参考にしながら、理想のIT転職を実現してください。
失業保険に関する詳細な情報は、ハローワークインターネットサービスや住所地を管轄するハローワークに直接問い合わせることをおすすめします。



