退職金の計算方法と転職時の運用アドバイス
IT転職の退職・入社準備ガイド
退職金の計算方法と転職時の運用アドバイス
転職を考えている方にとって、退職金は重要な経済的資源です。勤続年数に応じて支給される退職金を正しく理解し、転職時に効果的に活用することが、今後のキャリアと人生設計に大きく影響します。本記事では、退職金の計算方法から受け取り方法、そして転職後の運用方法まで、転職者が知るべき知識を詳しく解説します。
退職金の計算方法の基礎知識
退職金とは何か
退職金は、企業に勤続した労働者が退職時に受け取る一時金です。日本の労働基準法では退職金の支給を義務化していないため、支給されるかどうかや計算方式は企業の就業規則で個別に定められています。ほとんどの大企業と中堅企業では退職金制度を導入していますが、その内容は企業によって大きく異なります。

参考資料:OBC360°の退職金計算ガイドでは、企業が採用する様々な計算方式について詳しく解説されています。
3つの主要な計算方式
企業の退職金計算には、主に3つの方式があります。
1. 定額制
勤続年数のみに基づいて支給金額を決定する最も単純な方式です。基本給と勤続年数に応じた支給率を掛けることで計算されます。例えば、基本給30万円で支給率が勤続年1年あたり0.5ヶ月分であれば、20年勤続の場合は30万円 × 20年 × 0.5 = 300万円となります。
2. ポイント制
勤続年数、職能資格、人事評価など複数の要素を点数化し、累積ポイントに単価を掛けて計算する方式です。この方式は、同じ勤続年数でも人事評価が高い社員ほど多くの退職金を受け取ることができます。働き方改革への対応として採用する企業が増えています。
詳しくはNISSAY Business INSIGHTの記事を参照してください。
3. 別テーブル制
勤続年数に応じた基準額と役職係数、退職理由係数などを定めたテーブルから算出する方式です。定年退職と自己都合退職では支給額が異なります。例えば、自己都合退職は定年退職の70~80%程度に減額されることが多いです。
退職所得控除と税金計算
退職所得控除とは
退職一時金を受け取る際の税負担を軽減するために、退職所得控除という制度があります。2026年1月から重大な変更が予定されています。

- 20年以下の勤続:40万円 × 勤続年数 = 控除額
- 20年超の勤続:800万円 + 70万円 × (勤続年数 - 20年) = 控除額
例えば、25年勤続で2000万円の退職金を受け取った場合:
- 控除額:800万円 + 70万円 × 5年 = 1,150万円
- 課税対象額:(2000万円 - 1,150万円) × 1/2 = 425万円
2026年1月からの重要な変更
2026年1月から「5年ルール」が「10年ルール」に変更されます。これは、過去10年以内に複数の退職金を受け取った場合、控除額が調整される仕組みです。転職が多い人や、退職後に再就職した方は注意が必要です。詳しくはfreee経営者向けガイドを参照してください。
実際の税額計算例
退職所得は所得税と住民税の対象になります。以下の表は、退職金額と税負担の具体的な例です。
退職金額 | 勤続年数 | 控除額 | 課税対象額 | 税率 | 税金額 |
|---|---|---|---|---|---|
1,000万円 | 20年 | 800万円 | 100万円 | 10% | 10万円 |
1,500万円 | 25年 | 1,150万円 | 175万円 | 15% | 26万円 |
2,000万円 | 30年 | 1,500万円 | 250万円 | 20% | 50万円 |
退職金の受け取り方法の選択
一括受け取り(一時金方式)
最も一般的な受け取り方法で、退職時に全額一括で受け取ります。メリットは以下の通りです:
- 手続きが簡単で、金額を自由に運用できる
- 早期に資金を活用できる
- 利息や配当による資産増加の機会がある
デメリットとしては:
- 運用リスクを自分で管理する必要がある
- 一度に多額の資金を受け取るため、使い過ぎの誘惑がある
- 相続時に相続税の対象になることもある
分割受け取り(年金方式)
月額または年額として分割して受け取る方法です。三井住友信託銀行の記事では、受け取り方による税務上の違いについて詳しく解説されています。
メリット:
- 計画的に使用できる
- 長期的な資産運用が可能
- 心理的な安心感が得られる
デメリット:
- 企業の経営危機時に全額受け取れない可能性がある
- 金利が低い時期は損する可能性がある
- 相続時の扱いが複雑になることがある
転職時の退職金運用のポイント
退職後の資金管理の基本
転職時に受け取った退職金を効果的に運用するためには、以下の基本原則を守ることが重要です。

1. 緊急予備資金の確保
退職金のすべてを投資に回すことは避けてください。最低でも生活費の6ヶ月分から1年分を現金で準備しておくことが推奨されます。転職直後は予期しない出費が増えることもあります。
2. 税務管理
退職所得は他の所得と分離して税金が計算される「分離課税」の対象です。源泉徴収で税金が引かれているはずですが、確定申告で追加納税が発生することもあります。経理・税務の専門家に相談することをお勧めします。
3. 時間軸の設定
転職後の人生計画に応じて、資金を3つのカテゴリーに分けましょう:
- 短期資金(0-2年):現金で保管し、転職後の生活費や突発的な出費に充てる
- 中期資金(2-10年):定期預金や債券など、比較的低リスク商品で運用
- 長期資金(10年以上):株式投信などの成長資産で長期運用
運用商品の選択ガイド
高齢化による長寿化で、退職後の期間は平均25-30年に延びています。適切な運用によって、資産の目減りを防ぎながら適度な成長を目指すことが重要です。
避けるべき運用方法
- 単一の商品に全額投資する
- 短期間に高利回りを目指す商品への投資
- 複雑なデリバティブやヘッジファンド
- 知人からの勧誘による不透明な商品
推奨される運用方法
- 日本国債や定期預金で安全な資産基盤を構築(資産の30-40%)
- バランス型投信による分散投資(資産の30-40%)
- 外国株式や新興国債券による国際分散投資(資産の20-30%)
- インデックスファンドによる低コストな長期投資
転職による退職金のシミュレーション
転職を検討している方のために、実際のシミュレーション例を提示します。
シミュレーション1:大企業から大企業への転職
前職の条件:
- 基本給:35万円
- 勤続年数:20年
- 支給率:0.5ヶ月分/年
退職金: 35万円 × 20年 × 0.5 = 350万円 控除額: 800万円(20年以下の勤続なので全額非課税)
この場合、受け取った350万円はすべて非課税です。
シミュレーション2:大企業から転職する場合
同じく勤続25年で2000万円の退職金を受け取る場合:
控除額: 800万円 + 70万円 × 5年 = 1,150万円 課税対象額: (2000万円 - 1,150万円) × 1/2 = 425万円 所得税(復興特別税含む): 約64万円 住民税(翌年): 約42万円 実際の手取り: 約1,894万円
転職エージェントに相談すべき事項
転職時には以下の情報を必ず確認してください。詳しくはIT転職エージェント徹底比較の記事を参照してください。
- 現企業での退職金制度の内容
- 計算方式は定額制か、ポイント制か、別テーブル制か - 自己都合退職による減額率
- 転職先での待遇差
- 退職金制度の有無と内容 - 企業年金や401kプランの有無 - 転職後の給与との総合的な比較
- 税務上の相談
- 確定申告の必要性 - ふるさと納税との組み合わせ - 住宅ローン控除の影響
よくある質問と回答
Q: 自己都合退職と会社都合退職では退職金が異なりますか?
A: はい、異なります。自己都合退職は定年退職の70~80%程度に減額されることが多いです。ただし企業によって異なるため、就業規則で確認してください。
Q: 退職金を受け取る際の手続きはどのくらいかかりますか?
A: 通常、退職後1~2ヶ月以内に支給されます。企業によっては給与と同じタイミング(月末支給など)に支給されることもあります。
Q: 退職金は年金で受け取る方が税金が安くなりますか?
A: 状況によって異なります。一括受け取りと年金受け取りで税負担が変わる場合があります。詳しくはマネイロメディアの運用ガイドを参照し、転職先での収入水準を考慮して、税理士に相談することをお勧めします。
まとめ
転職時の退職金は、単なる離職時の補償ではなく、今後のキャリアと人生を支える重要な資産です。正しい計算方法を理解し、税務上の優遇措置を活用し、適切に運用することで、転職後の生活基盤を安定させることができます。
2026年からの税制改正を視野に入れて、転職のタイミングを検討することも重要です。退職金は人生で数回しか受け取らない機会です。この記事で学んだ知識を活用して、確実で着実な資産運用計画を立てることをお勧めします。
不明な点や詳しい相談については、IT転職の完全ガイドやIT転職エージェント徹底比較の記事も参考にしながら、信頼できる転職エージェントや税務専門家に相談してください。



