退職代行サービスとは?IT転職での利用と注意点
IT転職の退職・入社準備ガイド
退職代行サービスとは?IT転職での利用と注意点
IT企業から転職する際、多くのエンジニアは「退職手続きが複雑」「上司に言いづらい」という悩みを抱えています。そんな時、近年注目を集めているのが退職代行サービスです。本記事では、退職代行サービスの概要から、IT業界での利用時の注意点まで、詳しく解説します。
退職代行サービスとは
退職代行サービスは、本人に代わって退職の意思を会社に伝えるサービスです。直接上司に退職を告げることが難しい場合、代行業者が電話やメールで会社に退職を通知します。これにより、本人が出社せずに、あるいは最小限の接触で退職手続きを進めることができます。
サービスの仕組み
通常のプロセスは以下の通りです:
- 相談と依頼:退職代行業者に連絡し、状況を説明します
- 会社への通知:代行業者が会社に退職の意思を伝えます
- 事後手続き:離職票や源泉徴収票などの受け取り
多くのサービスでは、依頼当日中に会社に連絡できるため、迅速な対応が特徴です。
近年の利用状況
近年、日本の労働者の約20%(20代では18.6%)が退職代行サービスを利用しており、特に若い世代での利用が増加しています。大手サービスのMomuraだけでも、2022年以来35,000件以上のリクエストを受けています。詳しくはこちらの調査を参照してください。
退職代行の3つの運営形態と違い
退職代行サービスは運営主体によって異なり、対応範囲と手数料が変わります。自分の状況に合ったタイプを選ぶことが重要です。

運営形態 | 料金相場 | 対応範囲 | 強み |
|---|---|---|---|
民間企業 | 10,000~20,000円 | 退職通知のみ | 低価格、即日対応 |
労働組合 | 19,800~30,000円 | 退職通知+交渉 | 有給・給与交渉可能 |
弁護士事務所 | 30,000~50,000円以上 | 全対応 | 最も安心、法的保護 |
民間企業運営のサービス
民間企業が運営する退職代行サービスは、最も手頃な価格で利用できます。ただし、対応範囲は「退職の意思を会社に伝えること」に限定されています。
注意点:民間企業が給与交渉や有給取得の交渉を行うと、「非弁行為」(弁護士資格がない者が法律行為を行うこと)に該当する可能性があります。未払い賃金の請求など、交渉が必要な場合は利用すべきではありません。マイナビ退職代行ガイドで詳しく解説されています。
労働組合運営のサービス
東京都労働委員会に認証された合同労働組合が運営するサービスもあります。これらは退職通知だけでなく、有給取得、残業代、退職金などの条件交渉も可能です。
民間企業と比べて料金はやや高いですが(一律19,800円程度)、交渉力が必要な場合は非常に有効です。
弁護士事務所運営のサービス
最も高額ですが、法律家による完全なサポートが受けられます。複雑な案件や、会社から強い反発が予想される場合に選ばれます。
IT転職での退職代行サービス利用時の注意点
IT企業から転職する際、退職代行を使う場合には特有の注意点があります。

ソースコード引き継ぎについて
「ソースコードの引き継ぎが必要では?」と心配するエンジニアは多いですが、現代のIT企業では通常、GitHubなどのバージョン管理システムを使用しているため、特別な引き継ぎは不要です。本人がいなくても、チームメンバーがコードにアクセスでき、開発を継続できます。
重要な返却物の確認
退職代行を使用する場合でも、以下の物は必ず返却する必要があります:
- 会社支給のPC
- モバイル端末
- アクセスキーやセキュリティトークン
- VPN接続情報の削除確認
これらのセキュリティ関連の返却は、代行業者ではなく、本人が手続きする必要がある場合があります。退職代行業者と事前に相談することが重要です。
書類受け取りの重要性
退職代行サービスを利用した場合でも、以下の書類は必ず受け取る必要があります:
- 離職票:失業手当の申請に必須
- 源泉徴収票:年末調整や確定申告に必須
- 雇用契約書のコピー:トラブル発生時の証拠
- 退職金支払い記録(存在する場合)
退職代行業者が代わりに受け取ることもできますが、確実に受け取ったか確認しましょう。キャリアアップステージの記事に失敗事例も記載されています。
IT転職で退職代行を選ぶ際のポイント
IT企業から転職する際、以下のポイントを考慮して退職代行業者を選びましょう。

1. 成功率と実績の確認
「成功率100%」という宣伝文句に注意が必要です。多くの場合、失敗したケースを統計から除外しているため、実績が信頼できるかどうかは月間件数(300~500件程度が適正)で判断します。
2. 顧問弁護士の有無
民間企業運営の場合、顧問弁護士が在籍しているか、弁護士事務所と提携しているかを確認しましょう。これにより、急な問題が発生した際の対応力が大きく異なります。
3. IT企業特有の対応経験
ソースコード・アクセス権限・セキュリティトークンの返却など、IT企業特有の手続きを理解しているか確認します。経験が豊富なサービスなら、スムーズに対応できます。
4. サポート体制の充実度
24時間対応可能か、LINEやメールでいつでも相談できるか、などサポート体制を確認することが重要です。退職手続き中に問題が発生した時、すぐに相談できる環境があると安心です。
5. 料金の透明性
「追加料金なし」「全て込みで〇〇円」など、料金体系が明確に記載されているサービスを選びましょう。不明確な料金体系は後のトラブルの原因になります。
IT転職と退職代行の組み合わせ戦略
退職代行サービスを利用する場合、転職エージェントとの組み合わせが効果的です。
退職代行と転職エージェントの併用
- 転職エージェントで次の職場を決定
- 新しい企業の入社日を確保
- その後、退職代行で現在の企業に退職を通知
この順序なら、退職から入社までのブランク期間を最小化でき、人生設計がスムーズです。IT業界は人材不足のため、多くの企業が即座の入社に対応しています。
詳しくは、IT転職エージェント徹底比較【おすすめランキング】の記事も参考にしてください。
退職代行の失敗事例と対策
退職代行サービスの利用に失敗するケースもあります。以下は実際にあった問題です。
1. 書類が届かないケース
問題:退職代行業者が代わりに書類を受け取ったが、本人に届かず、失業手当が遅れた 対策:必ず「書類を代行業者ではなく自分で受け取る」または「代行業者から直接受け取ったことを確認する」
2. 会社からの問い合わせ対応の遅さ
問題:会社が本人に直接連絡してきたが、代行業者の対応が遅く、対処に困った 対策:代行業者の対応可能時間を事前に確認し、24時間対応かどうか確認する
3. IT企業特有のアクセス権限削除漏れ
問題:退職後、クラウドストレージやGitHubへのアクセスが削除されず、セキュリティリスクが残った 対策:セキュリティ関連の返却手続きは、IT部門と直接協力して確実に実施する
まとめ
退職代行サービスは、難しい退職手続きをサポートする便利なサービスです。特に、IT企業から転職する場合、以下の要点を押さえることが重要です:
- 運営形態による違いを理解する(民間、労働組合、弁護士)
- 交渉が必要な場合は労働組合か弁護士を選ぶ
- 書類受け取りとセキュリティ確認を確実に行う
- 転職エージェントとの組み合わせで効率化する
- IT企業特有の手続き(アクセス権限、セキュリティトークン)に対応できるサービスを選ぶ
IT転職の完全ガイド【未経験からエンジニアへ】やIT転職の年代別攻略ガイド【20代・30代・40代】と合わせて読むと、転職全体の流れがより理解できます。
退職代行は単なる逃げではなく、戦略的な転職の一手段です。正しく活用すれば、スムーズで効率的なIT転職が実現できます。



