エンジニアの年収が上がらない原因と対策
IT業界の年収ガイド【職種別・企業別・年齢別】
エンジニアの年収が上がらない原因と対策
「スキルを磨いているのに、なぜ年収が上がらないのだろう」と悩むITエンジニアは少なくありません。実は、エンジニアの年収が上がらない背景には、日本のIT業界特有の構造的な問題や、個人のキャリア戦略の課題が隠れています。本記事では、エンジニアの年収が上がらない主な原因を徹底分析し、現職のまま、または転職を通じて年収をアップさせるための具体的な対策を解説します。
エンジニアの年収が上がらない5つの主な原因
1. IT業界の多重下請け構造
日本のIT業界では、大手SIerを頂点とするピラミッド型の多重下請け構造が一般的です。発注元企業から元請け、一次請け、二次請け、三次請けと仕事が流れていく過程で、各層で30~50%もの中間マージンが発生します。

そのため、実際に開発作業を担当する下流工程のエンジニアの取り分は大幅に減少してしまいます。どれだけ優秀なエンジニアでも、商流が深いSES企業や下請け企業に所属していると、構造的に年収の上限が低くなってしまうのです。
IT業界の構造については、IT企業の種類と選び方で詳しく解説しています。
2. 評価制度と昇給システムの問題
同じスキルレベル、同じ経験年数のエンジニアでも、所属する企業によって年収に大きな差が生じます。その主な理由は、企業ごとの評価制度や昇給システムの違いです。
年功序列が根強い企業では、実力があっても若手のうちは大幅な昇給が難しい傾向にあります。また、成果を適切に評価できない管理職の下では、どれだけ貢献してもそれが給与に反映されにくいという問題もあります。
さらに、評価基準が曖昧で、客観的なスキル測定が行われていない企業では、エンジニアの市場価値と実際の給与が乖離してしまいがちです。
3. 市場価値の低いスキルセット
技術の進化が速いIT業界では、常に学習を続けなければスキルが陳腐化してしまいます。レガシーな技術のみを扱い続けていると、市場での需要が減少し、結果として年収が上がりにくくなります。
一方で、Python、Go、Rustのような高単価言語や、クラウド(AWS、Azure、GCP)、DevOps、データエンジニアリングなどのスキルは需要が高く、年収アップに直結します。自分のスキルセットが市場でどの程度価値があるのかを定期的に見直すことが重要です。
スキルアップ戦略については、ITエンジニアのスキルアップ戦略を参考にしてください。
4. 国際的な競争力の低下
2024年1月の調査によると、日本のITエンジニアの平均年収は世界72カ国中26位で、中国を下回る結果となっています。日本では30年以上にわたって実質給与がほとんど上がっておらず、グローバルな視点で見ると日本のエンジニアの給与水準は決して高くありません。
ただし、2020年から2024年の間に、ソフトウェアエンジニアの平均年収は480万円から540万円へと12.5%増加しており、少しずつ改善の兆しは見えています。
5. 転職市場の変化
2022年の物価高による景気後退により、企業のIT投資やスタートアップ投資が鈍化しました。その結果、かつては容易だった転職による年収アップが、現在では難しくなっているという現実があります。
とはいえ、経験豊富なソフトウェアエンジニア、クラウドアーキテクト、サイバーセキュリティ専門家は、依然として年収700万円~1000万円以上を獲得可能な状況です。市場全体が冷え込んでいても、高度なスキルを持つエンジニアには高年収のチャンスが残されています。
転職エージェントの活用については、IT転職エージェント徹底比較をご覧ください。
エンジニアの年収が上がらない原因の比較表
原因 | 影響度 | 対策の難易度 | 主な対策 |
|---|---|---|---|
多重下請け構造 | 高 | 中 | 上流企業への転職、フリーランス化 |
評価制度の問題 | 中 | 低~中 | 評価制度が明確な企業への転職 |
スキルセットの陳腐化 | 高 | 低 | 継続的な学習、高単価技術の習得 |
国際競争力の低下 | 中 | 高 | 外資系企業への転職、海外就職 |
転職市場の冷え込み | 中 | 中 | 希少価値の高いスキル習得 |
現職のまま年収を上げる5つの方法
1. 上流工程・マネジメント経験を積む
コーディングだけでなく、要件定義、設計、プロジェクトマネジメントなど、上流工程の経験を積むことで市場価値が高まります。マネジメントスキルは、どの企業でも高く評価されるため、年収アップに直結します。

チームリーダーやテックリードのポジションを志願し、積極的にマネジメント経験を積んでいきましょう。
2. 社内での交渉力を高める
日本企業では、自分から給与交渉をすることが少ない傾向にありますが、市場価値を理解した上で適切に交渉することは重要です。
自分のスキルと市場での相場を調査し、具体的な成果(プロジェクト成功、コスト削減、生産性向上など)を数値で示しながら、上司や人事部門と年収交渉を行いましょう。
3. 社内公募制度や異動を活用する
大企業では、社内公募制度を活用することで、より高い評価が得られるポジションや、年収水準の高い部署へ異動できる可能性があります。特に、新規事業部門やDX推進部門などは、予算が豊富で高待遇の場合があります。
4. 副業やフリーランス案件で収入源を増やす
現職の給与が上がらない場合は、副業として外部の開発案件を受注することで、実質的な年収アップが可能です。週末や夜間にフリーランス案件をこなすことで、スキルアップと収入増加を同時に実現できます。
フリーランスについては、フリーランスエンジニアへの転身ガイドで詳しく解説しています。
5. 資格取得でスキルを証明する
客観的なスキル証明として、IT資格の取得は有効です。特に、AWS認定資格、Azure認定資格、CCNP、LPICなどのクラウドやインフラ系の資格は、年収アップに直結しやすい傾向があります。
資格については、IT資格で転職を有利にする完全ガイドを参考にしてください。
転職で年収を上げる5つのポイント
1. 商流の浅い企業を選ぶ
年収アップを狙うなら、エンドユーザーから直接案件を受注している上流企業や、自社サービスを持つWeb系企業を選びましょう。中間マージンが発生しないため、エンジニアへの報酬が高くなります。

2. ビジネスモデルが優れた企業を選ぶ
利益率の高いビジネスモデルを持つ企業は、エンジニアへの報酬も高くなります。SaaS企業、プロダクト開発企業、成長中のスタートアップなどが該当します。
3. 強みを明確にしてアピールする
転職市場では、自分の強みを明確に理解し、アピールできるエンジニアが高い評価を得ます。「〇〇の技術に強い」「△△の経験が豊富」など、具体的な強みを整理しましょう。
IT転職の履歴書・職務経歴書の書き方ガイドで、効果的なアピール方法を学べます。
4. 複数のオファーを比較検討する
転職活動では、複数の企業から内定を得て、オファー内容を比較交渉することで、より良い条件を引き出すことができます。転職エージェントを活用し、複数社に同時応募することが有効です。
5. 年収交渉のタイミングを逃さない
内定後、雇用契約を結ぶ前が、年収交渉の最大のチャンスです。市場価値を理解した上で、希望年収を明確に伝えましょう。遠慮せず、自分の価値に見合った報酬を求めることが重要です。
面接対策については、IT転職の面接対策完全マニュアルをご覧ください。
年収1000万円を目指すキャリアパス
専門性を極める道
特定の技術領域(クラウドアーキテクト、データサイエンティスト、セキュリティエンジニアなど)でトップクラスの専門家になることで、年収1000万円超を狙えます。希少価値の高いスキルを持つエンジニアは、常に高い需要があります。
マネジメントの道
技術力だけでなく、プロジェクトマネージャー、部長、CTOなど、マネジメントポジションに進むことで、高年収を実現できます。技術とビジネスの両方を理解できるエンジニアは、企業にとって非常に価値があります。
フリーランス・起業の道
高単価案件を複数受注するフリーランスエンジニアや、自社サービスを立ち上げる起業家として、年収1000万円以上を目指すことも可能です。リスクはありますが、成果と報酬が直結するため、実力次第で大きく稼げます。
IT業界全体の年収事情については、IT業界の年収ガイドで詳しく解説しています。
まとめ:年収アップは戦略的なアプローチが鍵
エンジニアの年収が上がらない原因は、IT業界の構造的問題、評価制度、スキルセット、市場環境など多岐にわたります。しかし、これらの課題を理解した上で、戦略的にキャリアを設計すれば、確実に年収をアップさせることができます。
現職でのスキルアップ、社内交渉、転職、フリーランス化など、複数の選択肢を検討し、自分に最適な方法を選びましょう。継続的な学習と自己投資こそが、高収入への最短ルートです。
まずはIT転職の完全ガイドで全体像を把握し、自分のキャリアプランを明確にすることから始めてみてください。



