ITエンジニアの育休・産休事情と復帰後のキャリア
IT転職の働き方ガイド【リモート・副業・ワークライフバランス】
ITエンジニアの育休・産休事情と復帰後のキャリア
ITエンジニアとして働きながら、育児と仕事の両立を実現したいと考える方は増えています。2024年度の男性育休取得率は40.5%と過去最高を記録し、12年連続で上昇を続けています。一方で、女性の育休取得率は86.6%と男性の2倍以上を維持しており、依然として性別による差が存在します。
本記事では、ITエンジニアの育休・産休の実態から、取得時の注意点、復帰後のキャリア構築まで、実際のデータと事例を基に徹底解説します。エンジニアならではの悩みである「技術の進化に追いつけるか」「復帰後のポジションは保証されるか」といった不安にも答えます。
ITエンジニアの育休・産休取得の現状
IT業界における育休・産休の取得状況は、業界全体と比較してもポジティブな傾向にあります。特に先進的なIT企業では、エンジニアの男性育休取得率が100%に達している企業も存在し、子育て支援制度の充実が進んでいます。
しかし、育休取得を躊躇する理由も明確です。新米父親が育休を取得しなかった主な理由は、「会社が準備できていない」(23.4%)、「会社が取得を望んでいないと感じた」(21.8%)、「収入が減少することへの懸念」(22.6%)でした。
男女別の取得率の違い
性別 | 取得率 | 特徴 |
|---|---|---|
女性 | 86.6% | 産休から育休への流れがスムーズ、企業側も制度整備が進んでいる |
男性 | 40.5% | 2024年度は過去最高だが、女性の半分以下の取得率 |
IT業界(先進企業) | 最大100% | フレックス制度、リモートワークなど柔軟な働き方が可能な企業で取得率が高い |
IT業界全体では、エンジニアの58%が子育て支援が充実した企業への転職を前向きに検討しており、育休・産休制度の充実度が転職先選びの重要な要素になっています。
ITエンジニアが育休・産休を取得する際の課題
ITエンジニアが育休・産休を取得する際には、一般的な職種とは異なる固有の課題が存在します。最も大きな不安要素は「技術の進化スピード」です。
技術トレンドへの追従不安
育休期間中は実務から1~2年離れることになり、その間に技術トレンドが大きく変化する可能性があります。特に、以下のような分野では進化が早く、復帰時に「浦島太郎状態」になることへの懸念が強いです。
- フロントエンド開発(React、Vue.jsなどのフレームワーク更新)
- クラウドサービス(AWS、Azure、GCPの新サービス)
- AI・機械学習(大規模言語モデルなどの最新技術)
- 開発手法やツール(CI/CD、コンテナ技術の進化)
年収500万円以下の層では、復職後のキャリアへの悪影響が43%の懸念となっており、収入とキャリアの両面での不安が顕著です。
常駐型エンジニアの特有の課題
SESや客先常駐型のエンジニアの場合、クライアントとの調整が特に複雑になります。プロジェクトの途中で離脱することになるため、引き継ぎの負担や、復帰後に同じプロジェクトに戻れない可能性も考慮する必要があります。
女性プログラマーの実例では、産休育休後の働き方として、リモートワークやフレックス制度を活用しながら、段階的に業務量を増やしていく戦略が有効でした。
育休・産休中のスキル維持とキャリア戦略
育休期間中にスキルを完全に維持することは難しいものの、戦略的なアプローチで技術的なブランクを最小限に抑えることが可能です。

育休中の学習戦略
育休中は24時間育児に追われるため、まとまった学習時間を確保することは困難です。しかし、以下のような「すき間時間学習」が効果的です。
- 技術ブログやニュースサイトの定期購読:通勤時間や子どもの寝かしつけ後の15分程度で最新技術をキャッチアップ
- オンライン動画コンテンツの活用:UdemyやPluralsightなどの短編動画を家事をしながら視聴
- GitHubのトレンドチェック:週に1回、10分程度でトレンドリポジトリを確認
- コミュニティへの緩い参加:SlackやDiscordのテックコミュニティで情報を受動的に受け取る
マネジメントスキルへのシフト
育休期間中は、実務での開発と大きなギャップが生じますが、マネジメントスキルを磨く貴重な期間として活用できます。育児を通じて習得できるマネジメントスキルには以下があります。
- タスク管理能力(限られた時間での優先順位付け)
- 柔軟な対応力(予期せぬトラブルへの対処)
- コミュニケーション能力(パートナーとの協力体制構築)
- マルチタスク処理能力
これらのスキルは、復帰後にチームリーダーやプロジェクトマネージャーとして活躍する際の基盤となります。マネジメント経験はブランクを経ても劣化しないため、産休育休前にマネジメント経験を積むことが重要です。
復帰後のキャリアパスと働き方の選択肢
育休・産休から復帰した後のキャリアパスは、復帰前の準備と企業選択によって大きく変わります。技術力を身に着けてから産休育休に入れば、復帰後も自分の希望する働き方や仕事内容を選択できる可能性が高まります。

復帰後の働き方オプション
働き方 | メリット | デメリット | 向いている人 |
|---|---|---|---|
フルタイム(通常勤務) | キャリアの中断が少ない、収入を維持できる | 育児との両立が困難、体力的な負担が大きい | 家族のサポートが充実している人 |
時短勤務 | 育児時間を確保しやすい、段階的な復帰が可能 | 収入減少、キャリアの遅れを感じる可能性 | 小さい子どもがいる人 |
リモートワーク | 通勤時間削減、柔軟なスケジュール管理 | オン・オフの切り替えが難しい、孤独感 | 自己管理が得意な人 |
フリーランス | 完全に柔軟なスケジュール、案件選択の自由 | 収入の不安定さ、福利厚生なし | 技術力に自信がある人 |
復帰後の働き方として、外資系企業は時短勤務の制度が充実しており、実力や成果で社員を評価するため、子供がいる社員も実力を示しやすい環境があります。
キャリアアップのための転職戦略
復帰後にキャリアアップを目指す場合、転職も有効な選択肢です。特に、以下のようなポイントを重視して企業を選ぶことが重要です。
- 育児支援制度の充実度:時短勤務、リモートワーク、フレックスタイム制度
- 技術的な挑戦機会:最新技術に触れられる環境、スキルアップ支援
- キャリアパスの明確性:復帰後のキャリア形成が明確に示されている
- 同様の境遇の社員の存在:育休取得後に活躍している先輩エンジニアがいる
IT転職エージェントを活用することで、育児と両立しやすい企業を効率的に探すことができます。特に、育休・産休の取得実績が豊富な企業や、リモートワーク制度が整備された企業を紹介してもらえます。
育休・産休に強いIT企業の選び方
育休・産休制度が充実したIT企業を選ぶことは、長期的なキャリア形成において非常に重要です。以下のポイントをチェックしましょう。

企業選択のチェックリスト
制度面のチェック項目:
- 育休取得率(男女別)が開示されているか
- 育休期間中の給与補填制度があるか
- 時短勤務制度の利用実績が豊富か
- リモートワーク・フレックスタイム制度が整備されているか
- 復帰後のキャリア支援プログラムがあるか
企業文化のチェック項目:
- 実際に育休を取得したエンジニアの体験談が公開されているか
- 管理職層にも育休取得者がいるか
- 子育て中の社員が活躍しているか
- ワークライフバランスを重視する企業文化があるか
IT業界では、Web系企業やメガベンチャーが育休・産休制度に積極的な傾向があります。また、SIer・Web系・SES企業の違いを理解し、自分のライフスタイルに合った企業タイプを選ぶことも重要です。
面接での確認ポイント
面接時には、以下のような質問を通じて、実際の制度運用状況を確認しましょう。
- 「過去3年間の育休取得率と、取得後の復帰率を教えてください」
- 「育休から復帰したエンジニアのキャリア事例を教えてください」
- 「時短勤務やリモートワークの利用制限はありますか」
- 「育休中の技術キャッチアップ支援制度はありますか」
これらの質問に具体的な数字や事例で答えられる企業は、実際に制度が機能している可能性が高いです。IT転職の面接対策を参考に、育休・産休に関する質問も準備しておくことをおすすめします。
まとめ:育休・産休とキャリアの両立を実現するために
ITエンジニアとして育休・産休を取得し、その後もキャリアを継続・発展させることは十分に可能です。重要なのは、以下の3つのポイントを押さえることです。
1. 事前準備の徹底 育休・産休前に技術力とマネジメントスキルを高めておくことで、復帰後の選択肢が広がります。特に、技術力を身に着けてから産休育休に入ることで、復帰後の働き方を選択しやすくなります。
2. 育休中の戦略的なスキル維持 完全に実務から離れるのではなく、すき間時間を活用した最新技術のキャッチアップや、マネジメントスキルの向上を意識することで、ブランクの影響を最小化できます。
3. 復帰後のキャリア設計 復帰後の働き方(フルタイム、時短、リモート、フリーランス)を戦略的に選択し、必要に応じて転職も視野に入れることで、育児とキャリアの両立が可能になります。
2024年度の男性育休取得率40.5%という数字は、IT業界全体が子育て支援に積極的になっている証拠です。ワークライフバランスを重視したIT転職を実現し、エンジニアとして、そして親として充実したキャリアを築いていきましょう。



