IT転職時の源泉徴収票と年末調整の手続き
IT転職のお金と法律の知識ガイド
IT転職時の源泉徴収票と年末調整の手続き
IT業界での転職を検討している方にとって、源泉徴収票と年末調整の手続きは避けて通れない重要な税務手続きです。転職時期や状況によって必要な対応が異なるため、事前に正確な知識を持っておくことが大切です。
本記事では、IT転職における源泉徴収票の取得方法、年末調整の手続き、確定申告が必要なケースについて詳しく解説します。IT転職の完全ガイドと合わせてご覧いただくことで、転職時の税務手続きを完璧に理解できるでしょう。
源泉徴収票とは?基本知識と重要性
源泉徴収票は、給与所得者に対して雇用主が発行する重要な税務書類です。1年間に支払われた給与の総額と、そこから差し引かれた所得税の金額が記載されています。
IT業界で転職する場合、この書類は必須となります。なぜなら、年内に複数の会社で勤務した場合、転職先の企業がすべての源泉徴収票をもとに年末調整を行う必要があるためです。
源泉徴収票に記載されている主な情報
項目 | 説明 |
|---|---|
支払金額 | 年間の給与総額(税込) |
給与所得控除後の金額 | 支払金額から給与所得控除を差し引いた金額 |
所得控除の額の合計額 | 社会保険料控除、生命保険料控除などの合計 |
源泉徴収税額 | 実際に差し引かれた所得税の金額 |
社会保険料等の金額 | 健康保険料、厚生年金保険料などの合計 |
所得税法により、退職日から1か月以内に源泉徴収票を交付する義務が雇用主に課されています。IT企業の人事部門は、この法的義務を遵守して速やかに発行してくれるのが一般的です。
詳しいIT企業の種類と選び方を理解しておくと、企業文化による手続きの違いも把握しやすくなります。
転職時の源泉徴収票の取得タイミング
IT転職における源泉徴収票の取得タイミングは、退職時期によって異なります。適切なタイミングで取得することで、年末調整や確定申告をスムーズに進めることができます。
年の途中で退職した場合
年の途中で退職した場合、前職の会社から退職後1か月以内に源泉徴収票が交付されるのが原則です。多くのIT企業では、退職手続きの一環として最終出社日前後に発行されることが多いです。
退職時の源泉徴収票には、その年の1月1日から退職日までの給与と税金の情報が記載されています。転職先での年末調整に必要となるため、受け取ったら大切に保管しましょう。
年末まで在籍した場合
12月まで在籍して年末調整を受けた場合、通常は12月の給与明細と一緒、または1月中旬頃に源泉徴収票が発行されます。年末調整後の源泉徴収票には、1年間の給与と最終的に確定した所得税額が記載されます。
IT企業特有の注意点
IT業界では、以下のような特殊なケースもあります。
- フリーランスからの転職:報酬は給与所得ではなく事業所得となるため、源泉徴収票ではなく支払調書が交付されます
- ストックオプション:株式売却益は給与所得とは別に扱われるため、別途確定申告が必要になる場合があります
- 副業収入:IT技術者が副業で得た収入は、本業の源泉徴収票とは別に管理が必要です
IT業界の年収ガイドでは、給与体系の詳細について解説していますので、併せて参考にしてください。
転職先への源泉徴収票提出の手続き
転職先での年末調整をスムーズに進めるためには、前職の源泉徴収票を適切なタイミングで提出する必要があります。ここでは、具体的な提出手続きと注意点を解説します。
提出期限と最適なタイミング
年末調整は通常11月から12月にかけて行われるため、遅くとも11月中旬までには転職先に源泉徴収票を提出することが望ましいです。早めに提出しておくことで、人事部門の処理もスムーズになり、年末調整の結果も早く受け取れます。
転職先の企業によっては、入社時に源泉徴収票の提出を求められることもあります。まだ前職から受け取っていない場合は、「後日提出します」と伝えて、受け取り次第速やかに提出しましょう。
提出方法と必要書類
現代のIT企業では、源泉徴収票の提出方法も多様化しています。
提出方法 | 特徴 | 注意点 |
|---|---|---|
原本の直接提出 | 最も一般的な方法 | 紛失しないよう注意 |
スキャンデータのメール送信 | リモートワーク環境に対応 | 後日原本の提出を求められる場合がある |
人事システムへのアップロード | 最新のIT企業に多い | ファイル形式や容量の制限を確認 |
郵送 | 遠隔地の場合に利用 | 到着確認を必ず行う |
IT企業では電子申請システムを導入していることが多いですが、原本の提出を求められるケースもあります。転職先の人事部門に確認しておくと安心です。
複数回転職した場合の対応
その年に複数回転職している場合は、すべての職場の源泉徴収票を12月時点で在籍している会社へ提出する必要があります。IT業界では短期間で複数回転職するケースも珍しくないため、すべての源泉徴収票を漏れなく保管しておきましょう。
IT転職エージェント徹底比較を活用すれば、転職時の各種手続きについてもアドバイスを受けられます。
源泉徴収票がもらえない場合の対処法
前職の会社から源泉徴収票がもらえない、または発行が遅れているという問題は、残念ながら発生することがあります。IT業界でも、特にベンチャー企業やスタートアップでは、人事体制が不十分で対応が遅れるケースが見られます。

まず取るべき対応
源泉徴収票が届かない場合、以下の順序で対応しましょう。
- 前職の人事部門に電話で確認:メールよりも電話の方が迅速に対応してもらえることが多いです
- 発送日と到着予定日を確認:郵送のタイムラグを考慮して、具体的な日程を確認します
- 再発行を依頼:紛失の可能性がある場合は、再発行を明確に依頼します
IT企業の中には、退職者専用の問い合わせフォームを設けているところもあります。まずは公式な手続き方法を確認してみましょう。
税務署への相談と「源泉徴収票不交付の届出書」
何度依頼しても源泉徴収票を発行してもらえない場合は、お住まいの住所を管轄する税務署に相談し、「源泉徴収票不交付の届出書」を提出することができます。
この届出書を提出すると、税務署が会社に対して行政指導を行うため、通常は発行されるようになります。届出には以下の情報が必要です。
- 前職の会社名と所在地
- 勤務期間
- 給与の支払われた期間と金額(給与明細があれば添付)
- 源泉徴収票の交付を求めた日付と方法
税務署への相談は、国税庁の中途就職者の年末調整に関するページも参考になります。
また、転職時の税務手続きについてはIndeed(インディード)の年末調整ガイドやマイナビ転職エージェントの解説記事でも詳しく説明されています。
源泉徴収票なしで年末調整を受ける方法
どうしても源泉徴収票が間に合わない場合、給与明細を使って概算で年末調整を行うこともできますが、後日正式な源泉徴収票が届いたら必ず確定申告で修正する必要があります。
この場合、転職先の人事部門に事情を説明し、どのように対応すべきか相談しましょう。IT企業の人事担当者は、こうしたイレギュラーなケースにも慣れていることが多いです。
年末調整の手続きと必要書類
転職後の年末調整は、前職の収入も含めて正確に申告する必要があります。IT業界で働く方が年末調整を受ける際の手続きと必要書類について詳しく解説します。

年末調整とは
年末調整は、その年の1月1日から12月31日までの給与所得に対する所得税を精算する手続きです。毎月の給与から差し引かれている所得税は概算額であり、年末調整によって正確な税額を計算し、過不足を調整します。
転職者の場合、前職と現職の給与を合算して計算するため、前職の源泉徴収票が必須となります。
転職者が提出する必要書類
年末調整では、以下の書類を転職先に提出する必要があります。
書類名 | 内容 | 入手方法 |
|---|---|---|
給与所得者の扶養控除等申告書 | 扶養家族の情報を申告 | 転職先から配布 |
給与所得者の基礎控除申告書 | 基礎控除の適用を受けるため | 転職先から配布 |
給与所得者の配偶者控除等申告書 | 配偶者控除の適用を受けるため | 転職先から配布 |
給与所得者の保険料控除申告書 | 生命保険料などの控除を受けるため | 転職先から配布 |
前職の源泉徴収票 | 前職の給与と税額の証明 | 前職から交付 |
各種保険料の支払証明書 | 生命保険料、地震保険料など | 保険会社から郵送 |
IT業界では、リモートワークが普及したことで、これらの書類を電子データでやり取りすることも増えています。転職先のシステムに合わせて対応しましょう。
国民年金・国民健康保険の控除
IT業界で転職する際、前職を退職してから転職先に入社するまで期間が空くことがあります。この間に国民年金や国民健康保険に加入した場合、その保険料は社会保険料控除の対象となります。
忘れずに年末調整の際に申告しましょう。国民年金の控除証明書は日本年金機構から、国民健康保険料は市区町村から発行される証明書が必要です。
IT転職の年代別攻略ガイドでは、年代ごとの転職タイミングと税務手続きの関係についても解説しています。
確定申告が必要になるケース
IT転職後、すべてのケースで年末調整だけで完結するわけではありません。以下のような場合は、自分で確定申告を行う必要があります。

年内に再就職しなかった場合
12月31日時点で就業していない場合、年末調整を受けることができないため、翌年の2月16日から3月15日までの間に確定申告を行う必要があります。
例えば、2025年9月にIT企業を退職し、2026年1月に新しい会社に入社した場合、2025年分の所得については自分で確定申告をしなければなりません。
12月入社で給与支払いが翌年の場合
12月に新しいIT企業に入社しても、給与の支払いが翌月払いで1月以降になる場合、その年の年末調整は行われません。前職の収入については確定申告が必要です。
この場合、還付金が受け取れる可能性が高いため、必ず確定申告を行いましょう。IT業界では月末締め翌月払いが一般的なため、このケースは意外と多く見られます。
前職の源泉徴収票が期限に間に合わなかった場合
前職の源泉徴収票の発行が年末調整の提出期限に間に合わない場合も、確定申告での対応となります。転職先で現職分の年末調整のみを行い、前職分は後日確定申告で合算します。
年末調整では対応できない控除を受ける場合
以下の控除は年末調整では申告できないため、確定申告が必要です。
控除の種類 | 内容 | 対象者 |
|---|---|---|
医療費控除 | 年間医療費が10万円超の場合 | 医療費が多額な方 |
寄附金控除 | ふるさと納税などの寄附 | ワンストップ特例を利用しない方 |
雑損控除 | 災害や盗難による損失 | 該当する損失があった方 |
住宅ローン控除(初年度) | 住宅購入1年目 | 住宅を購入した方 |
IT業界で高収入の方は、ふるさと納税を活用していることが多いため、確定申告が必要になるケースが増えます。
副業収入がある場合
IT技術者の中には、副業でフリーランス案件を受けたり、技術書の執筆で収入を得たりする方も多いです。副業による所得が年間20万円を超える場合は、確定申告が必要です。
フリーランスエンジニアへの転身ガイドでは、フリーランスとしての税務について詳しく解説しています。
転職時期別の対応パターン
IT転職の時期によって、税務手続きの対応が変わります。転職を計画する際の参考として、時期別の対応パターンをまとめました。

1月~10月に転職した場合
年の前半から中盤に転職した場合、最も標準的なパターンとなります。
- 前職の対応:退職後1か月以内に源泉徴収票を受け取る
- 転職先の対応:11月までに源泉徴収票を提出し、12月に年末調整を受ける
- 自分でやること:生命保険料控除証明書などの追加書類を準備する
この時期の転職は、税務手続きの面では最もシンプルです。IT業界では4月や10月の組織改編に合わせた転職が多く、手続きもスムーズに進みやすいです。
11月~12月前半に転職した場合
年末近くの転職は、タイミングによって対応が分かれます。
- 転職先で12月給与がある場合:転職先で年末調整を受けられる(前職の源泉徴収票を急いで入手する必要あり)
- 12月給与がない場合:翌年に確定申告が必要
IT業界では12月のプロジェクト区切りに合わせて転職することも多いため、人事担当者と綿密にスケジュールを確認しましょう。
12月後半に転職した場合
12月後半の転職は、給与の支払いタイミングによって対応が大きく変わります。
- 転職先が当月払いの場合:転職先で年末調整を受けられる可能性がある
- 転職先が翌月払いの場合:確定申告が必要になる
IT企業によって給与の支払いサイクルが異なるため、オファー面談の際に確認しておくことをお勧めします。
年をまたいで転職した場合
年内に退職し、翌年に入社した場合は、退職した年の収入について確定申告が必要です。
- 退職年:確定申告で前職分の税金を精算(還付される可能性が高い)
- 入社年:新しい会社で通常の年末調整を受ける
この場合、退職年の確定申告で所得税が還付されることが多いため、必ず申告を行いましょう。IT業界では、スキルアップのための研修期間を設けて転職するケースもあり、このパターンは珍しくありません。
IT業界特有の税務上の注意点
IT業界で働く方が転職する際、一般的な業界とは異なる税務上の注意点があります。IT業界特有の状況を理解して、適切に対応しましょう。

ストックオプションの税務処理
IT企業、特にスタートアップやベンチャー企業では、ストックオプション制度を導入していることがあります。ストックオプションを行使した場合の税務処理は複雑です。
- 税制適格ストックオプション:行使時は課税されず、株式売却時に譲渡所得として課税
- 税制非適格ストックオプション:行使時に給与所得として課税され、源泉徴収の対象
転職時にストックオプションを行使した場合は、その年の給与所得が大幅に増える可能性があるため、確定申告での精算が必要になることがあります。
副業収入の申告
IT技術者は、本業の傍らフリーランス案件を受けたり、技術記事の執筆で収入を得たりすることが珍しくありません。副業による所得が年間20万円を超える場合は、確定申告が必要です。
副業収入は事業所得または雑所得として申告し、必要経費を差し引いた金額が課税対象となります。パソコンや書籍の購入費、セミナー参加費なども経費として認められる場合があります。
リモートワーク手当の扱い
コロナ禍以降、IT業界ではリモートワーク手当を支給する企業が増えました。この手当は給与所得として課税対象となるため、源泉徴収票にも反映されます。
転職時には、前職と現職でリモートワーク手当の扱いが異なる可能性があるため、給与明細をしっかり確認しておきましょう。
外資系IT企業の特殊性
外資系IT企業では、RSU(制限付株式ユニット)などの報酬形態が採用されていることがあります。これらは権利確定時に給与所得として課税されますが、処理が複雑なため、税理士への相談を検討すると良いでしょう。
SE(システムエンジニア)転職の完全ガイドでは、IT業界での報酬体系について詳しく解説しています。
まとめ:IT転職時の税務手続きをスムーズに進めるために
IT業界での転職は、技術的なキャリアアップだけでなく、税務手続きも重要な要素です。本記事で解説した内容を振り返り、スムーズな転職を実現するためのポイントをまとめます。
重要なポイント
- 源泉徴収票は退職後1か月以内に発行される:受け取ったら必ず内容を確認し、大切に保管しましょう
- 年末調整の期限は11月中旬:転職先への提出は早めに行うことでトラブルを回避できます
- 複数回転職した場合はすべての源泉徴収票が必要:紛失しないよう注意しましょう
- 年内に再就職しなかった場合は確定申告が必要:還付金が受け取れる可能性が高いため必ず申告を
- 医療費控除やふるさと納税は確定申告で対応:年末調整では申告できない控除があります
事前準備のチェックリスト
IT転職を成功させるために、以下の事前準備を行いましょう。
- 退職時に人事部門から源泉徴収票の発行時期を確認する
- 転職先の年末調整の提出期限を入社時に確認する
- 生命保険料控除証明書などの書類を10月頃から準備する
- 国民年金・国民健康保険に加入した場合は控除証明書を入手する
- 副業収入がある場合は収入と経費の記録をまとめておく
困ったときの相談先
税務手続きで不明な点があれば、以下に相談しましょう。
- 転職先の人事部門:年末調整の具体的な手続きについて
- 前職の人事部門:源泉徴収票の発行状況について
- 税務署:確定申告や源泉徴収票が発行されない場合の対応について
- 税理士:複雑な税務処理(ストックオプション、副業など)について
IT転職は、技術力を活かしたキャリアアップの絶好の機会です。税務手続きを適切に行うことで、後々のトラブルを避け、新しい職場でのスタートを気持ちよく切ることができます。
IT転職エージェント徹底比較を活用すれば、転職活動全体のサポートを受けながら、税務手続きについてもアドバイスを得られます。ぜひ参考にしてください。



