IT転職と住宅ローン:転職が審査に与える影響
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IT転職と住宅ローン:転職が審査に与える影響
IT業界で転職を考えている方の中には、「転職したら住宅ローンが組めなくなるのでは?」と不安を抱えている方も多いでしょう。実際、転職は住宅ローンの審査に大きな影響を与える可能性があります。本記事では、IT転職が住宅ローン審査にどのような影響を与えるのか、そして転職前後でどのような対策を取るべきかについて、最新データと実例を交えて詳しく解説します。
IT転職の完全ガイド【未経験からエンジニアへ】では、転職の基本的な流れを解説していますが、住宅購入を検討している方は、転職のタイミングと住宅ローンの関係性を事前に理解しておくことが重要です。
転職が住宅ローン審査に与える影響とは
国土交通省の調査によると、93.6%の金融機関が勤続年数を住宅ローン審査で考慮していることが明らかになっています。これは、転職によって勤続年数がリセットされることが、住宅ローンの審査に直接的な影響を与えることを意味します。
金融機関が勤続年数を重視する理由は明確です。長期間同じ会社に勤めていることは、安定した収入源があることの証明となります。転職直後の場合、将来的な収入の安定性や継続性を判断する材料が少ないため、金融機関はリスクが高いと判断する傾向があるのです。
また、IT業界の年収ガイド【職種別・企業別・年齢別】でも解説していますが、IT業界は給与水準が高い一方で、転職による年収変動も大きい業界です。そのため、金融機関は特に慎重に審査を行う傾向があります。
日本の住宅ローン市場は2024年3月時点で残高221兆円に達し、新規融資は前年比0.8%増加しています。この巨大な市場において、金融機関は貸し倒れリスクを最小限に抑えるため、勤続年数を重要な審査基準としているのです。
詳しくはIT転職エージェント徹底比較【おすすめランキング】で、住宅ローン相談も含めたサポートが受けられるエージェントを紹介しています。
勤続年数と住宅ローン審査の関係
多くの金融機関では、勤続年数1年以上を住宅ローンの申込要件として設けています。これは業界標準とも言える基準で、転職直後の方にとっては大きなハードルとなります。
金融機関別の勤続年数要件
金融機関タイプ | 勤続年数要件 | 柔軟性 | 特徴 |
|---|---|---|---|
メガバンク | 1~3年以上 | 低い | 厳格な審査基準 |
地方銀行 | 1~2年以上 | 中程度 | 地域性を考慮 |
ネット銀行 | 6ヶ月~1年 | 高い | 柔軟な審査 |
フラット35 | 規定なし | 非常に高い | 勤続年数不問 |
信用金庫 | 1年以上 | 中程度 | 地域密着型 |
ただし、転職直後でも審査に通過できる可能性はあります。フラット35や一部のネット銀行(住信SBIネット銀行など)では、勤続年数が短くても柔軟な審査を行っています。これらの金融機関は、勤続年数だけでなく、年収の増減、職種の一貫性、キャリアの連続性などを総合的に判断します。
IT転職の年代別攻略ガイド【20代・30代・40代】でも解説していますが、年代によって金融機関の評価基準も異なります。若年層の場合は今後の成長性、中堅層の場合は安定性が重視される傾向があります。
転職直後に住宅ローンが通りにくい理由
転職直後に住宅ローン審査が厳しくなる理由は、単に勤続年数が短いからだけではありません。いくつかの要因が複合的に影響しています。

1. 年収の評価方法
転職直後に住宅ローンを申し込んだ場合、転職先の平均月収から1年間の見込所得で年収が計算されるため、実際の年収より低く評価されることがあります。例えば、入社時に支給される入社祝い金やボーナスなどは計算に含まれないケースが多く、見かけ上の年収が実際より低くなってしまいます。
2. 試用期間中の不安定性
多くの企業では入社後3~6ヶ月の試用期間を設けています。この期間中は、万が一適性がないと判断された場合、雇用が継続されないリスクがあります。金融機関はこのリスクを考慮し、試用期間中の申込を避ける、または試用期間終了後の申込を推奨する傾向があります。
3. 収入の継続性への懸念
新しい職場での業務適性や、企業の経営状況などが不透明な時期であるため、長期的な収入の継続性を金融機関が判断しにくいという事情があります。特にベンチャー企業への転職の場合、企業の将来性も審査の対象となることがあります。
SE(システムエンジニア)転職の完全ガイドでは、転職先企業の選び方についても詳しく解説しています。金融機関の評価が高い企業を選ぶことも、住宅ローン審査対策の一つとなります。
転職後でも住宅ローンが通りやすいケース
転職直後でも、以下のような条件を満たしている場合は、住宅ローンの審査に通過しやすくなります。

年収アップを伴う転職
前職より年収が上がっている場合、金融機関は「キャリアアップに成功した」と前向きに評価します。特に、年収が20%以上アップしている場合は、転職が成功したと判断され、審査に有利に働くことが多いです。
IT業界の職種図鑑【全職種の仕事内容と年収】では、各職種の平均年収を詳しく解説していますので、転職による年収変動の見込みを事前に把握できます。
同業種・同職種への転職
IT業界内での転職で、同業種・同職種への転職の場合は、審査がスムーズに進む傾向があります。例えば、SIer企業間の転職や、Web系企業間の転職などです。職種の連続性があることで、専門性とキャリアの一貫性が証明され、金融機関の評価が高くなります。
実例として、同じIT業界の大手企業へエンジニアとして転職したケースでは、職種も変わらず年収もほぼ同条件だったため、本審査後であっても「条件が大きく変わらなければ問題ない」と金融機関から説明を受け、予定通り融資が実行されました。
IT企業の種類と選び方【SIer・Web系・SES】では、企業タイプ別の特徴を解説していますので、転職先選びの参考にしてください。
社会的信用度の高い職種・企業
士業や公務員、または大手企業への転職の場合、勤続年数が短くても社会的信用度の高さから審査に通過しやすい傾向があります。IT業界でいえば、GAFAM(Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoft)などの超大手企業や、国内の大手IT企業(NTTデータ、富士通、NECなど)への転職が該当します。
住宅ローン審査に通るための具体的な対策
転職を検討しながら住宅購入も視野に入れている方は、以下の対策を講じることで、住宅ローン審査の通過率を高めることができます。

転職のタイミングを調整する
理想的なのは、住宅ローンの融資実行後に転職することです。融資実行後であれば、転職による影響はほとんどありません。ただし、本審査中や本審査後でも融資実行前の場合は、必ず金融機関に報告し、相談することが重要です。
一方、すでに転職してしまった場合は、転職から1~3年経過してから住宅ローンを申し込むのが無難です。この期間であれば、新しい職場での収入が安定していることを証明でき、審査も通りやすくなります。
IT転職の退職・入社準備ガイドでは、転職のタイミングについても詳しく解説していますので、参考にしてください。
柔軟な金融機関を選ぶ
前述の通り、フラット35や一部のネット銀行では、勤続年数が短くても柔軟に審査を行っています。特にフラット35は、住宅金融支援機構が提供する公的な住宅ローンで、勤続年数の要件がなく、転職直後でも申し込むことができます。
また、住信SBIネット銀行などのネット銀行は、従来の銀行とは異なる審査基準を持っており、勤続年数よりも年収や返済能力を重視する傾向があります。
必要書類を充実させる
転職直後の場合、雇用契約書、採用通知書、年収見込証明書などを提出することで、「今の職場で安定して働いている」ことを証明できます。これらの書類には、年収や雇用形態が明記されており、金融機関が将来的な収入を予測する材料となります。
また、転職前の源泉徴収票や給与明細も提出することで、転職前後の年収を比較でき、年収アップを伴う転職であることを証明できます。
頭金を多めに用意する
転職直後で審査に不安がある場合、頭金を多めに用意することで、借入額を減らし、審査に通りやすくすることができます。一般的には物件価格の20~30%の頭金が理想とされていますが、転職直後の場合は、可能であればもう少し多めに用意することをおすすめします。
頭金が多ければ、借入額が減り、返済負担率(年収に対する返済額の割合)が下がるため、金融機関のリスク評価が下がります。
ペアローンや収入合算を検討する
配偶者がいる場合、ペアローンや収入合算を検討することで、世帯全体の収入を基準に審査を受けることができます。配偶者が安定した職業に就いている場合、転職直後の影響を軽減できます。
本審査後や融資実行後の転職について
住宅ローンの申込から融資実行までには、いくつかの段階があります。それぞれの段階で転職した場合、どのような対応が必要かを理解しておきましょう。

仮審査後の転職
仮審査に通過した後に転職する場合、必ず金融機関に報告してください。仮審査は申込内容に基づいた簡易的な審査であり、本審査では詳細な確認が行われます。転職を隠して本審査に進むと、申込内容と実態が異なるとして、審査が否決される可能性があります。
本審査後の転職
本審査に通過した後でも、融資実行前の転職は金融機関への報告が必須です。前述の実例のように、条件が大きく変わらなければ問題ないケースもありますが、必ず事前に相談しましょう。
特に、年収が下がる、契約社員になる、業種が大きく変わる場合は、再審査となる可能性が高いです。
融資実行後の転職
融資実行後であれば、転職による制約はほとんどありません。ただし、転職によって収入が大きく減少し、住宅ローンの返済が困難になる場合は、早めに金融機関に相談することをおすすめします。返済計画の見直しや、借り換えなどの対応が可能です。
ITエンジニアのキャリアパス設計ガイドでは、長期的なキャリア設計について解説していますので、住宅購入後のキャリアプランを考える際の参考にしてください。
まとめ:転職と住宅ローンの両立戦略
IT転職を検討しながら住宅購入も考えている方は、以下のポイントを押さえることで、両立を実現できます。
- 転職のタイミングは住宅ローン融資実行後が理想:可能であれば、融資実行を待ってから転職することで、審査への影響を回避できます。
- 転職後は1~3年待つのが無難:すでに転職してしまった場合は、新しい職場での収入が安定するまで待つことをおすすめします。
- 年収アップ・同業種転職は有利:前職より年収が上がる、同業種・同職種への転職の場合は、転職直後でも審査に通る可能性が高まります。
- 柔軟な金融機関を選ぶ:フラット35や一部のネット銀行は、勤続年数が短くても柔軟な審査を行っています。
- 必要書類を充実させる:雇用契約書や年収見込証明書などを提出することで、収入の安定性を証明できます。
- 本審査後の転職は必ず報告:融資実行前の転職は、必ず金融機関に報告し、相談することが重要です。
IT業界は転職が活発な業界ですが、住宅購入という大きなライフイベントを控えている場合は、慎重な計画が必要です。本記事で解説した内容を参考に、転職と住宅ローンの両立を実現してください。
より詳しい転職ノウハウについては、IT転職の面接対策完全マニュアルやIT転職の履歴書・職務経歴書の書き方ガイドもご覧ください。また、IT転職サイト・求人サービスの使い方ガイドでは、転職活動を効率的に進める方法を解説しています。



