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IT転職時の確定拠出年金(iDeCo・企業型DC)の移換手続き

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IT転職時の確定拠出年金(iDeCo・企業型DC)の移換手続き

IT転職時の確定拠出年金(iDeCo・企業型DC)の移換手続き

IT業界で転職を考える際、給与や勤務条件だけでなく、確定拠出年金の移換手続きも重要な検討事項です。手続きを怠ると、積み立てた年金資産が運用停止になったり、余計な手数料が発生したりするリスクがあります。本記事では、IT転職時の確定拠出年金(iDeCo・企業型DC)の移換手続きについて、2026年の制度改正も踏まえて詳しく解説します。

確定拠出年金は、老後資金を準備するための重要な制度です。IT業界では企業型DCを導入している企業も多く、転職活動を進める際には、転職先の年金制度も確認しておくことが大切です。適切な移換手続きを行うことで、これまでの積立資産を無駄にせず、効率的に老後資金を準備できます。

確定拠出年金の基礎知識

確定拠出年金には、個人型(iDeCo)と企業型(企業型DC)の2種類があります。iDeCoは個人が任意で加入する制度で、企業型DCは企業が福利厚生として導入する制度です。

iDeCoは2025年11月時点で約380万人が加入しており、税制優遇を受けながら老後資金を準備できる制度として人気が高まっています。一方、企業型DCは約800万人が加入しており、企業が掛金を拠出し、従業員が運用方法を選択する仕組みです。

両制度とも、掛金が全額所得控除の対象となり、運用益が非課税になるなど、大きな税制メリットがあります。IT業界でキャリアアップを目指す方にとって、これらの制度を理解し活用することは、将来の資産形成において非常に重要です。

参考:iDeCo公式サイトでは、転職・退職時の詳しい手続き方法が確認できます。

転職時の移換手続きが必要な理由

転職時に確定拠出年金の移換手続きが必要な理由は、主に以下の3点です。

第一に、手続きを怠ると年金資産の運用が停止してしまいます。企業型DCの加入資格を喪失した状態で6カ月が経過すると、資産が国民年金基金連合会に自動移換され、運用ができなくなります。

第二に、自動移換されると余計な手数料が発生します。自動移換手数料として4,348円、さらに管理手数料として月額52円(年間624円)が継続的にかかり、資産が目減りしていきます。

第三に、退職所得控除の算出に不利になります。自動移換期間は掛金拠出期間にカウントされないため、将来年金を受け取る際の控除額が減少し、税負担が増える可能性があります。

IT転職エージェントを利用する際も、転職先の年金制度について質問し、移換手続きの計画を立てることが重要です。参考として、リクルートエージェントの解説記事では、転職時の確定拠出年金手続きについて詳しく紹介されています。

転職パターン別の移換手続き方法

転職時の確定拠出年金の移換手続きは、転職先の年金制度によって異なります。主なパターンは以下の通りです。

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企業型DCから企業型DCへの移換

転職先にも企業型DCがある場合、これまでの資産を転職先の企業型DCに移換できます。転職先の担当者に連絡し、「加入者資格取得届」と「企業型年金加入者資格喪失届」を提出します。手続きは比較的スムーズで、約1~2カ月で完了します。

企業型DCからiDeCoへの移換

転職先に企業型DCがない場合や、自営業・フリーランスになる場合は、iDeCoへの移換が必要です。まず金融機関でiDeCo口座を開設し、「個人別管理資産移換依頼書(K-003)」を提出します。転職先から「事業主の証明書」への署名・押印を受ける必要があり、手続き完了まで約1.5~2.5カ月かかります。

SBI証券のiDeCo三井住友銀行のiDeCoなど、各金融機関で手続き方法が詳しく案内されています。

iDeCoから企業型DCへの移換

iDeCo加入者が企業型DCのある企業に転職する場合、iDeCoの資産を企業型DCに移換できます。転職先の企業型DC担当者に連絡し、必要書類を準備します。2022年10月からは、企業型DCとiDeCoの併用も可能になったため、移換せずに継続することも選択肢の一つです。

フリーランスエンジニアから正社員に転職する場合も、このパターンに該当します。

移換手続きの期限と必要書類

移換手続きには厳格な期限があります。企業型DCの加入資格を喪失した日の翌月から起算して6カ月後の末日までに手続きを完了させる必要があります。例えば、6月30日に退職した場合、12月31日が期限となります。

この期限を過ぎると、資産が自動的に国民年金基金連合会に移換され、以下のデメリットが発生します。

デメリット項目

内容

運用停止

資産の運用ができなくなり、複利効果を失う

自動移換手数料

4,348円の手数料が一度だけ発生

月額管理手数料

月額52円(年間624円)が継続的に発生

退職所得控除の減少

掛金拠出期間にカウントされず、将来の控除額が減少

再移換時の手数料

将来iDeCoや企業型DCに移換する際にも手数料が発生

必要書類は移換先によって異なりますが、主なものは以下の通りです。

iDeCoへの移換時:

  • 個人型年金加入申出書
  • 個人別管理資産移換依頼書(K-003)
  • 事業主の証明書(転職先の会社に記入してもらう)
  • 本人確認書類

企業型DCへの移換時:

  • 加入者資格取得届
  • 企業型年金加入者資格喪失届
  • 転職先企業が指定する書類

七十七銀行の解説記事では、移換手続きの詳細なフローが図解付きで紹介されています。

2026年の制度改正による影響

2026年は確定拠出年金制度にとって大きな転換点となります。IT業界で転職を検討している方は、これらの改正内容を理解しておくことが重要です。

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マッチング拠出上限の撤廃(2026年4月)

現在、企業型DCのマッチング拠出(従業員が企業の掛金に上乗せして拠出すること)には、「従業員拠出額が企業拠出額を超えてはならない」という制限があります。しかし、2026年4月からこの制限が撤廃され、企業の拠出額に関係なく、従業員が月額55,000円まで拠出できるようになります。

この改正により、iDeCoよりもマッチング拠出が有利になるケースが増えると予想されています。寺田税理士事務所の分析によると、約800万人の企業型DC加入者と128万人のiDeCo加入者がこの改正の影響を受けるとされています。

iDeCo加入年齢の引き上げ(2026年4月)

現行では65歳未満までしかiDeCoに加入できませんが、2026年4月からは70歳未満まで加入可能になります。これにより、老後資金の準備期間が5年延長され、より充実した年金資産を築くことができます。

IT業界では40代以降の転職も増えており、年齢を重ねてからのキャリアチェンジでも、十分な年金資産を準備できる環境が整います。

拠出限度額の引き上げ(2026年12月)

2026年12月からは、企業型DCの拠出限度額が現行の月額55,000円から62,000円に引き上げられます。これにより、より多くの老後資金を税制優遇を受けながら準備できるようになります。

これらの改正について、Finaseeの解説記事では、具体的な活用方法や注意点が詳しく分析されています。

IT転職時の年金手続きチェックリスト

IT業界での転職をスムーズに進めるために、以下のチェックリストを活用してください。

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転職前(退職前)に確認すべきこと:

  • 現在加入している年金制度の種類(企業型DC、iDeCo)
  • 現在の資産残高と運用状況
  • 転職先の年金制度(企業型DC、iDeCo、両方なし)
  • 必要書類の準備(退職前に会社から受け取る書類)

転職後(入社後)に行う手続き:

  • 転職先の人事部門に年金制度について確認
  • 移換先の決定(企業型DCかiDeCoか)
  • 金融機関の選択(iDeCoの場合)
  • 必要書類の提出
  • 手続き完了の確認

期限管理:

  • 退職日を起算日として記録
  • 6カ月後の末日を期限として管理
  • 可能な限り早めに手続きを開始(退職後1~2カ月以内が理想)

IT転職の面接対策を進める際にも、転職先の年金制度について質問することで、自分のキャリアプランに合った企業選びができます。また、履歴書・職務経歴書の準備と並行して、年金手続きの準備も進めることで、スムーズな転職が実現します。

確定拠出年金の移換手続きは、IT転職において見落とされがちですが、将来の資産形成に大きな影響を与える重要な手続きです。期限を守り、適切な選択をすることで、税制メリットを最大限に活用しながら、安心して老後を迎えることができます。

転職を機に、自分の年金資産や老後設計を見直す良い機会と捉え、しっかりと準備を進めましょう。三菱UFJ銀行の解説記事りそな銀行の記事なども参考にしながら、最適な選択をしてください。

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