IoTエンジニアの仕事内容と転職市場
DX・AI時代のIT転職戦略【最新テクノロジー】
IoTエンジニアの仕事内容と転職市場:2026年最新ガイド
IoT(Internet of Things:モノのインターネット)市場は急速に拡大しており、2026年までにグローバル市場規模は1.39兆ドルに達すると予測されています。この成長に伴い、IoTエンジニアの需要は過去最高レベルに達しており、転職市場においても注目度の高い職種となっています。
本記事では、IoTエンジニアの具体的な仕事内容、必要なスキル、年収相場、そして今後のキャリア展望について、最新の市場データをもとに徹底解説します。IT業界への転職を検討している方は、IT転職の完全ガイドもあわせてご覧ください。
IoTエンジニアとは?仕事の本質を理解する
IoTエンジニアは、センサーやデバイスをインターネットに接続し、データを収集・分析・活用するシステムを設計・開発する専門職です。従来のソフトウェア開発とハードウェア開発の境界線を越えた、統合的なスキルセットが求められます。
IoTエンジニアの仕事は、大きく分けて以下の3つの領域から構成されています:
- 制御設計:組み込みシステムやマイコンの制御プログラムを開発し、デバイスの動作を制御します
- ネットワーク設計:デバイスとクラウド間の通信プロトコルやセキュリティを設計します
- Web系ソフトウェア開発:収集したデータを可視化・分析するダッシュボードやアプリケーションを開発します
この3つの領域を統合的に扱えることが、IoTエンジニアの最大の特徴であり、市場価値の源泉となっています。IT業界全体の職種について詳しく知りたい方は、IT業界の職種図鑑をご参照ください。
IoTエンジニアの具体的な仕事内容
要件定義とシステム設計
IoTプロジェクトは、クライアントのビジネス課題を理解することから始まります。例えば、製造業における生産設備の稼働監視、医療分野での遠隔患者モニタリング、スマートシティにおける交通流量管理など、業界ごとに異なる要件を技術要件に落とし込みます。

この段階では、以下のような設計判断が必要です:
- どのようなセンサーを配置するか
- データ収集の頻度と通信方式
- クラウドかエッジか、データ処理の場所
- セキュリティ要件とコンプライアンス対応
ハードウェア開発とファームウェア実装
センサーノードやゲートウェイデバイスの開発では、C/C++を用いた組み込みプログラミングが中心となります。消費電力の最適化、リアルタイム処理、メモリ制約など、組み込み特有の課題に対応します。
参考:IoT Engineer: Key Skills and Responsibilitiesによれば、ハードウェアとソフトウェアの統合が最も重要なスキルの一つとされています。
クラウドインフラ構築とデータパイプライン開発
収集したデータをクラウドで処理・保存するための基盤構築も重要な業務です。AWS IoT Core、Azure IoT Hub、Google Cloud IoTなどのマネージドサービスを活用しながら、スケーラブルなアーキテクチャを設計します。
データパイプラインでは、以下のような技術スタックが一般的です:
レイヤー | 主要技術 | 役割 |
|---|---|---|
デバイス層 | MQTT、CoAP、HTTP | デバイスからの通信プロトコル |
データ収集層 | AWS IoT Core、Azure IoT Hub | メッセージブローカー、デバイス管理 |
データ処理層 | Lambda、Stream Analytics | リアルタイムデータ処理 |
データ保存層 | DynamoDB、Time Series DB | センサーデータの永続化 |
分析・可視化層 | QuickSight、Power BI | ダッシュボードとレポート |
データ分析とAI/ML統合
IoTの価値は、収集したデータから有益な知見を引き出すことにあります。異常検知、予測保全、最適化アルゴリズムなど、機械学習を活用したソリューション開発も増えています。
Pythonを使った機械学習モデルの開発、エッジAIのための最適化、リアルタイム推論など、データサイエンスとの融合領域も広がっています。この分野のスキルアップについては、ITエンジニアのスキルアップ戦略も参考になります。
セキュリティ対策と運用保守
IoTデバイスは物理的にアクセス可能な環境に設置されることが多く、セキュリティリスクが高まります。デバイス認証、通信の暗号化、脆弱性管理など、包括的なセキュリティ設計が必須です。
運用フェーズでは、リモートからのファームウェアアップデート、障害監視、デバイスライフサイクル管理なども担当します。
IoTエンジニアに必要なスキルセット
プログラミング言語とフレームワーク
IoTエンジニアには、複数のプログラミング言語の習得が求められます:
- C/C++:組み込みシステム、ファームウェア開発の基礎言語
- Python:データ処理、機械学習、自動化スクリプト
- JavaScript/Node.js:Webアプリケーション、サーバーサイド開発
- Go/Rust:高性能なバックエンドサービス、エッジコンピューティング
プログラミング言語の選択については、プログラミング言語別IT転職ガイドが参考になります。
ネットワークとプロトコル
IoT特有の通信プロトコルとネットワーク技術の理解が不可欠です:
- MQTT:軽量メッセージングプロトコル、デバイスとクラウド間の標準的な通信方式
- CoAP:制約のあるデバイス向けのプロトコル
- HTTP/REST API:Webサービスとの統合
- Bluetooth、Zigbee、LoRaWAN:近距離・省電力無線通信
クラウドプラットフォーム
主要クラウドサービスのIoT関連機能の知識が求められます:
- AWS IoT Core、Greengrass
- Azure IoT Hub、IoT Edge
- Google Cloud IoT Core
クラウド認証の取得は転職に有利です。詳しくはIT資格で転職を有利にする完全ガイドをご覧ください。
ハードウェア・電子工学の基礎
ソフトウェアエンジニアにはあまり馴染みのない、ハードウェアの知識も必要です:
- マイクロコントローラー(Arduino、ESP32、Raspberry Piなど)の仕様と活用
- センサー(温度、湿度、加速度、GPSなど)の特性と選定
- 電源管理とバッテリー効率
- 基本的な電子回路の読み方
IoTエンジニアの転職市場と年収相場
日本国内の市場動向
JACリクルートメントの調査によれば、日本国内におけるIoTエンジニアの平均年収は約870.3万円です。管理職や専門性の高いポジションでは1,000万円を超えるケースも珍しくありません。

従来は製造業や通信業界が採用の中心でしたが、現在は医療、インフラ、サービス業など、非IT系企業にも需要が拡大しています。特に自動車、産業機器、ロボットメーカーでの採用が活発です。
IT業界全体の年収動向については、IT業界の年収ガイドで詳しく解説しています。
経験年数別の年収目安
経験年数 | 想定年収 | 求められるレベル |
|---|---|---|
1~3年 | 450~650万円 | 特定領域(組み込みorクラウド)で一人前に開発できる |
3~5年 | 650~850万円 | 複数領域を統合したシステムを設計・実装できる |
5~8年 | 850~1,100万円 | アーキテクチャ設計、チームリード、新技術導入 |
8年以上 | 1,100万円~ | IoT戦略立案、事業開発、エンジニアリングマネージャー |
グローバル市場の状況
Datamationの報告によれば、米国ではIoTエンジニアの平均年収は11.8万ドル(約1,600万円)で、ソリューションアーキテクト職では14万~21万ドルのレンジとなっています。
2026年2月時点で、米国内のIoTエンジニア求人は1,238件、IoT関連職全体では13,000件以上の求人があり、継続的に需要が高まっています。
需要が高い業界セグメント
現在、IoTエンジニアの需要が特に高いのは以下の業界です:
- 製造業(インダストリー4.0):スマートファクトリー、予知保全
- 自動車業界(コネクテッドカー):車載システム、テレマティクス
- ヘルスケア:ウェアラブルデバイス、遠隔医療
- スマートシティ・インフラ:交通管理、エネルギー最適化
- 農業・アグリテック:精密農業、環境モニタリング
業界別のIT転職戦略については、IT業界の業種別転職ガイドをご参照ください。
未経験からIoTエンジニアへの転職
推奨される学習パス
完全未経験からIoTエンジニアを目指すのは難易度が高いですが、以下のいずれかのバックグラウンドがあれば、転職可能性は大きく高まります:

パターン1:ソフトウェアエンジニアからの転向
- クラウドやWeb開発の経験を活かす
- 組み込み開発やハードウェアの基礎を学習
- 個人プロジェクトでRaspberry Piなどを使った実装経験を積む
パターン2:組み込みエンジニアからの転向
- C/C++の経験を活かす
- クラウドサービスとネットワークプロトコルを学習
- IoTプラットフォーム(AWS IoT、Azure IoTなど)の認定資格を取得
パターン3:電気・電子工学のバックグラウンド
- ハードウェアの知識を活かす
- プログラミングスキルを強化(C/C++、Python)
- システム設計の全体像を理解する
未経験からのIT転職全般については、未経験からのIT転職完全攻略が参考になります。
取得すべき資格
IoTエンジニアとして評価される資格には以下があります:
- AWS Certified IoT - Specialty:AWS IoT関連サービスの専門知識を証明
- Microsoft Certified: Azure IoT Developer Specialty:Azure IoT開発のスキルを認定
- 組込みシステムスペシャリスト試験:国内で認知度の高い組み込み系資格
- ネットワークスペシャリスト試験:ネットワーク設計の基礎知識
- LPWA(Low Power Wide Area)関連資格:LoRaWAN、Sigfoxなどの認定
ポートフォリオプロジェクトのアイデア
転職活動では、実装経験を示すポートフォリオが非常に重要です:
- スマートホームシステム:温度・湿度センサーとRaspberry Piを使った自動制御
- IoTダッシュボード:センサーデータのリアルタイム可視化WebアプリとモバイルアプリとAWS IoTの統合
- 予測保全アプリケーション:振動センサーデータから機器の異常を検知する機械学習モデル
- LoRaWANネットワーク:長距離無線通信を使った広域センサーネットワーク
これらのプロジェクトをGitHubで公開し、設計思想や技術的課題の解決方法を文書化することで、採用担当者にスキルをアピールできます。
IoTエンジニアのキャリアパスと将来性
キャリアの分岐点
IoTエンジニアとして経験を積んだ後は、以下のようなキャリアパスが考えられます:

技術深化型
- IoTアーキテクト:大規模IoTシステムの設計責任者
- エッジAI/MLエンジニア:エッジコンピューティングと機械学習の専門家
- IoTセキュリティスペシャリスト:IoTシステムのセキュリティ専門家
領域拡張型
- フルスタックエンジニア:Web/モバイルアプリ開発も含めた統合開発
- データエンジニア:IoTデータ基盤の構築とビッグデータ分析
- DevOpsエンジニア:IoTシステムのCI/CD、インフラ自動化
マネジメント型
- IoTプロダクトマネージャー:IoT製品の企画・戦略立案
- エンジニアリングマネージャー:IoT開発チームのマネジメント
- 技術コンサルタント:IoT導入支援、技術アドバイザリー
詳しいキャリアパス設計については、ITエンジニアのキャリアパス設計ガイドをご覧ください。
2026年以降の市場展望
IoT市場は今後も拡大が続くと予測されています。特に以下の分野での成長が期待されています:
- エッジコンピューティング:クラウドへのデータ転送を減らし、リアルタイム性を高める
- 5Gの普及:高速・低遅延通信により、新たなIoTユースケースが実現
- デジタルツイン:物理世界とデジタル世界をリアルタイムで同期
- AIとの融合:IoTデバイスでの推論実行、自律的な判断機能
参考:Northeastern University - IoT Careers Guideによれば、IoT関連職は今後10年間で最も成長が見込まれる技術職の一つとされています。
DXやAI時代の転職戦略については、DX・AI時代のIT転職戦略も参考にしてください。
技術トレンドへのキャッチアップ
IoT分野は技術革新が速く、継続的な学習が不可欠です:
- 技術ブログやカンファレンス:IoT World、AWS re:Invent、Microsoft Igniteなどでの最新動向チェック
- オープンソースへの貢献:Arduino、ESP-IDF、PlatformIOなどのコミュニティ参加
- プロトタイピング:新しいセンサーやプラットフォームを実際に試す
継続的な学習とスキルアップの重要性については、多くのIoTエンジニアが指摘しています。
IoTエンジニアとして転職を成功させるポイント
転職エージェントの活用
IoT分野は専門性が高いため、IT業界に特化した転職エージェントの活用が効果的です。特に、製造業やハードウェア企業とのパイプラインを持つエージェントを選ぶことで、非公開求人にアクセスできる可能性が高まります。

おすすめの転職エージェントについては、IT転職エージェント徹底比較で詳しく紹介しています。
職務経歴書でアピールすべきポイント
IoTエンジニアの職務経歴書では、以下の点を明確に示すことが重要です:
- 担当したIoTシステムの規模(デバイス数、データ量など)
- 使用した技術スタック(デバイス、プロトコル、クラウドサービス)
- 統合的なスキル(ハードウェア、ネットワーク、ソフトウェアの組み合わせ)
- 定量的な成果(コスト削減、効率化、新機能実装)
職務経歴書の書き方については、IT転職の履歴書・職務経歴書の書き方ガイドをご参照ください。
面接での技術アピール
IoTエンジニアの面接では、以下のような質問が想定されます:
- 「IoTシステムのアーキテクチャをどのように設計しますか?」
- 「デバイスとクラウド間の通信でどのようなセキュリティ対策を実施しましたか?」
- 「大量のセンサーデータをリアルタイムで処理する際の課題と解決策は?」
- 「エッジとクラウドのデータ処理をどのように使い分けますか?」
具体的なプロジェクト経験をもとに、技術的な判断基準や課題解決のプロセスを説明できるよう準備しておきましょう。面接対策の詳細は、IT転職の面接対策完全マニュアルをご覧ください。
働き方の選択肢
IoTエンジニアは、フルリモートでの勤務がやや難しい側面があります(ハードウェアテストや現地デバッグが必要な場合が多いため)。ただし、クラウド側の開発やデータ分析に特化する場合は、リモートワークの可能性も高まります。
また、IoT分野の専門性を活かしてフリーランスとして活動する選択肢もあります。詳しくは、フリーランスエンジニアへの転身ガイドおよびIT転職の働き方ガイドをご参照ください。
まとめ:IoTエンジニアとして成功するために
IoTエンジニアは、ハードウェア、ネットワーク、ソフトウェアという複数領域をまたがる統合的なスキルが求められる職種です。2026年現在、市場規模は拡大を続けており、需要に対して人材が不足している状況が続いています。
平均年収は約870万円で、専門性を高めることで1,000万円以上も十分に目指せる職種です。ただし、技術革新が速い分野であるため、継続的な学習とスキルアップが不可欠です。
未経験からの転職は難易度が高いものの、ソフトウェア開発や組み込み開発のバックグラウンドがあれば、学習と実践プロジェクトを通じてキャリアチェンジが可能です。転職を成功させるためには、実装経験を示すポートフォリオの構築、関連資格の取得、そして専門性を理解する転職エージェントの活用が効果的です。
IoTはDXの中核技術の一つであり、今後も成長が見込まれる領域です。興味のある方は、小さなプロジェクトから始めて、徐々にスキルを広げていくことをお勧めします。
転職活動全般のサポートについては、IT転職サイト・求人サービスの使い方ガイドやIT転職の退職・入社準備ガイドも併せてご活用ください。



