受託開発企業の特徴と転職のメリット・デメリット
IT企業の種類と選び方【SIer・Web系・SES】
受託開発企業の特徴と転職のメリット・デメリット
IT業界で転職を考えるエンジニアにとって、受託開発企業は重要な選択肢の一つです。しかし、「受託開発はきつい」「自社開発の方が良い」といった声も聞かれます。本記事では、受託開発企業の特徴と、転職する際のメリット・デメリットを詳しく解説します。
受託開発企業への転職を成功させるためには、企業の選び方や注意点を理解することが重要です。この記事を読むことで、自分に合った働き方を見極め、キャリアアップにつながる転職を実現できるでしょう。
受託開発企業とは?基本的な特徴を理解する
受託開発とは、企業が求めるシステムやソフトウェア開発を、外部のベンダーもしくは個人事業主・フリーランスエンジニアに対して外部委託することを指します。請負契約に該当し、受注者が発注者の依頼に沿って仕事を完遂し、発注者は仕事の成果物に対して報酬を支払う形の契約です。
経済産業省の調査(2021年度)によると、国内ソフトウェア業の売上高は11兆9,141億円に達しており、受託開発はIT業界において大きな市場規模を持っています。また、日本のカスタムソフトウェア開発市場は2030年までに5,978.4百万米ドルに達する見込みで、2024年から2030年にかけて年平均成長率24.1%と高い成長が予測されています。
受託開発企業の主な特徴は以下の通りです:
- クライアントのニーズに合わせた完全オーダーメイドのシステムを開発
- プロジェクト単位での契約が中心
- 様々な業界のクライアントと仕事をする機会がある
- 開発工程は要件定義から設計、開発、テストまで幅広い
IT企業の種類と選び方では、受託開発企業を含むIT企業の種類について詳しく解説しています。
受託開発企業に転職するメリット
1. 多様なプロジェクト経験でスキルアップできる
受託開発では、複数のクライアントから開発を受注するため、案件の種類・分野はさまざまです。多岐にわたる案件を通じて、幅広いIT・開発スキルが身につけられます。

金融システム、ECサイト、業務管理システムなど、異なる業界のシステム開発に携わることで、技術力だけでなく業界知識も深めることができます。設計から運用まで一貫したシステム開発経験が可能なため、ITエンジニアのキャリアパスを広げる上で大きなアドバンテージとなります。
2. プロジェクト管理能力が向上する
受託開発では、クライアントとの要件定義から納品まで、プロジェクト全体の流れを経験できます。予算管理、スケジュール調整、リスク管理などのプロジェクトマネジメントスキルを実践的に学べるのは、受託開発ならではの魅力です。
こうした経験は、将来的にプロジェクトマネージャーやITコンサルタントとしてキャリアアップする際に非常に役立ちます。
3. 上流工程に関わるチャンスが多い
多くの受託開発企業では、要件定義や設計といった上流工程から携わる機会があります。クライアントと直接コミュニケーションを取りながら、ビジネス課題を技術で解決する経験は、エンジニアとしての市場価値を高めます。
特に元請けに近い企業では、より上流工程に関わる機会が増え、技術力だけでなくビジネススキルも磨けます。
4. 幅広い技術に触れられる
プロジェクトごとに異なる技術スタックを使用するため、様々なプログラミング言語、フレームワーク、データベースなどを経験できます。この多様性は、プログラミング言語別IT転職において有利に働きます。
最新技術を導入するプロジェクトに参加すれば、トレンドの技術を学ぶ機会にもなります。
受託開発企業に転職するデメリット
1. 多重請負構造による影響
受託開発業界では、多重請負構造が一般的です。二次請け・三次請けと下層になるほど利益が減少し、給与水準も低くなる傾向があります。元請けに近いほど仕事内容や待遇面で条件が良いケースが多いため、企業選びでは請負構造を確認することが重要です。

IT業界の年収ガイドでは、企業形態別の年収について詳しく解説しています。
2. クライアント都合の変更対応
受託開発では、クライアントの要望変更に対応しなければならない場合があります。開発途中での仕様変更や追加要件により、スケジュールが逼迫したり、残業が増えたりすることもあります。
プロジェクトの難易度や納期によっては、ワークライフバランスが崩れる可能性もあるため、IT転職の働き方ガイドで働き方について事前に確認しておくことをおすすめします。
3. 成果物のユーザー反応が見えにくい
受託開発で開発のみを請け負う場合は、成果物を納品したら基本的にその後の保守・運用には関わりません。そのため、ユーザーの反応が見えにくい点がデメリットです。
自分が開発したシステムがどのように使われているのか、ユーザーからどんな評価を受けているのかを知る機会が限られるため、やりがいを感じにくいと感じる人もいます。
4. 客先常駐の可能性
クライアントの要望によっては客先常駐で開発を求められることがあり、クライアントの企業ルールに沿って出勤やコミュニケーションを取らなければならないため、慣れない環境で働くことになります。
複数のプロジェクトを経験すると、その度に職場環境が変わるため、適応力が求められます。
受託開発企業への転職を成功させる企業選びのポイント
1. 開発工程の範囲を確認する
設計から開発・運用まで一貫してシステム開発に携わる受託開発企業を選ぶのがポイントです。二次請け・三次請けと工程が分けられることで、システム開発の一部にしか携われず、他工程の知識・ノウハウが得られにくいのが難点です。

上流工程から下流工程まで幅広く経験できる企業を選ぶことで、総合的なスキルアップが期待できます。
2. 元請け・受注構造をチェックする
元請けに近いほど仕事内容や待遇面で条件が良いケースが多いため、企業選びではクライアントや元請けから仕事を受注しているかも大事なポイントです。一次請けまたは元請け企業であれば、より裁量権が大きく、やりがいのある仕事に携われます。
3. 取引先の多様性を見る
特定の取引先に依存していないことも重要なポイントです。幅広い業界で受託開発している、取引先が複数あるといった企業であれば案件数が豊富にあり、経営面において安定しているといえます。
また、多様な業界のプロジェクトに関わることで、より幅広い経験を積むことができます。
4. 保守・運用への関与度を確認する
ユーザーの反応が気になる場合は、運用・保守まで一貫して行う受託開発企業に勤めるのがおすすめです。開発後もシステムに関わり続けることで、ユーザーフィードバックを得られ、より良いシステム開発につなげることができます。
5. 技術力とキャリア支援体制を評価する
企業の技術力レベルや、社員のスキルアップを支援する制度があるかも確認しましょう。IT資格で転職を有利にする取り組みを支援している企業であれば、継続的な成長が期待できます。
研修制度、勉強会の開催、資格取得支援などがある企業は、エンジニアの成長を重視している証拠です。
受託開発企業と他の開発形態との比較
受託開発と自社開発の違い
項目 | 受託開発 | 自社開発 |
|---|---|---|
プロジェクトの多様性 | 高い(様々なクライアント) | 低い(自社サービスのみ) |
ユーザーフィードバック | 限定的 | 直接的・継続的 |
開発期間 | プロジェクトごとに異なる | 長期的・継続的 |
技術選定の自由度 | クライアント依存 | 比較的高い |
スキルアップの幅 | 幅広い技術・業界 | 深い専門性 |
年収水準 | 企業による差が大きい | 比較的安定 |
自社開発との比較については、IT企業の種類と選び方で詳しく解説しています。
受託開発とSESの違い
受託開発は成果物に対する責任を負う請負契約ですが、SES(システムエンジニアリングサービス)は技術者の労働力を提供する準委任契約です。受託開発の方が、プロジェクト全体への関与度が高く、責任ある立場で仕事ができる傾向があります。
受託開発企業への転職に向いている人・向いていない人
向いている人
- 様々なプロジェクトに携わりたい人
- 幅広い技術を学びたい人
- 上流工程の経験を積みたい人
- プロジェクトマネジメントに興味がある人
- 変化に柔軟に対応できる人
向いていない人
- 一つのサービスを深く育てたい人
- ユーザーとの距離感を大切にしたい人
- 環境変化が苦手な人
- 自社プロダクトへの愛着を重視する人
SE(システムエンジニア)転職の完全ガイドでは、自分に合った働き方を見つけるためのヒントを提供しています。
まとめ:自分に合った選択をするために
受託開発企業への転職には、多様なプロジェクト経験やスキルアップの機会というメリットがある一方で、多重請負構造やワークライフバランスへの影響といったデメリットも存在します。
重要なのは、これらのメリット・デメリットを理解した上で、自分のキャリアプランや価値観に合った企業を選ぶことです。元請けに近い企業、開発工程の範囲が広い企業、保守・運用まで関われる企業など、自分が何を重視するかによって最適な選択は異なります。
IT転職エージェント徹底比較を活用することで、自分に合った受託開発企業を効率的に見つけることができます。また、IT転職の面接対策完全マニュアルを参考に、転職活動を進めていくことをおすすめします。
受託開発企業への転職は、適切な企業選びと準備によって、エンジニアとしてのキャリアを大きく前進させる機会となります。この記事が、あなたの転職成功の一助となれば幸いです。



