客先常駐SEから自社開発へ転職する方法
SE(システムエンジニア)転職の完全ガイド
客先常駐SEから自社開発へ転職する方法
客先常駐(SES)のシステムエンジニアとして働く中で、「自社開発に転職したい」と考えるエンジニアは少なくありません。実際、転職エージェントの統計では、利用者の88%が働きながらの転職を成功させており、そのうち81%が年収アップを実現しています(2023年8月時点)。
本記事では、客先常駐SEから自社開発企業への転職を成功させる具体的な方法と、転職後のキャリアについて詳しく解説します。自社開発への転職は決して不可能ではなく、適切な準備と戦略があれば、より充実したエンジニアキャリアを築くことができます。
客先常駐と自社開発の違いを理解する
転職活動を始める前に、客先常駐と自社開発の根本的な違いを理解することが重要です。
客先常駐(SES)は、自社のエンジニアをクライアント企業の現場に派遣し、クライアントの指示のもとで業務を進める働き方です。プロジェクトごとに異なる企業で働くため、多様な開発環境や技術に触れられる機会があります。しかし、クライアント企業のルールや契約内容に従う必要があるため、働き方の自由度は限られています。
一方、自社開発は企業が自身の製品やサービスを企画から開発、運用まで一貫して手掛ける働き方です。社内ルールの範囲内で柔軟な調整が可能であり、時間的な裁量や勤務形態の選択において自由度が高いのが特徴です。ユーザーの反応を直接見ながら改善を重ねられるため、サービスづくりの面白さを実感しやすいという魅力もあります。
IT企業の種類と選び方【SIer・Web系・SES】では、IT企業の働き方の違いについてさらに詳しく解説しています。
項目 | 客先常駐(SES) | 自社開発 |
|---|---|---|
勤務場所 | クライアント企業 | 自社オフィス |
プロジェクト期間 | 数ヶ月~数年で変動 | 長期的・継続的 |
スキル習得 | 多様な技術に触れられる | 特定技術に深く携われる |
働き方の自由度 | クライアント依存 | 比較的高い |
年収水準 | 中間マージンあり | スキルに応じて高い |
企画・意思決定 | 限定的 | 参加機会が多い |
自社開発へ転職するメリット
客先常駐から自社開発へ転職することで得られるメリットは数多くあります。

年収アップの可能性
自社開発企業では、求められるスキルに応じて年収が決定され、クライアント企業の意向による値下げもないため、SESから自社開発に転職する場合、年収が上がる可能性が高まります。SESでは企業とクライアントの間に中間マージンが発生しますが、自社開発ではその分が給与に反映されやすくなります。
働き方の自由度向上
開発スケジュールの自由度が高い点は、自社開発の大きなメリットのひとつです。クライアントの都合に左右される受託開発とは異なり、納期や開発ペースを自社の状況に合わせて調整できます。リモートワークやフレックスタイム制度なども導入しやすく、ワークライフバランスを重視した働き方が実現しやすい環境です。
サービス開発の面白さ
自社サービスを自分たちで企画・開発・運用まで手掛けることで、エンジニアとしての充実感が得られます。ユーザーからの直接的なフィードバックを受けながら、サービスの成長に貢献できる喜びは、自社開発ならではの魅力です。
キャリアの選択肢拡大
自社開発では、開発業務だけでなく、プロダクトマネジメントやテックリード、CTOなど、より広範なキャリアパスが開かれています。技術的な深さだけでなく、ビジネス視点も磨けるため、将来的なキャリアの選択肢が広がります。
IT業界の年収ガイド【職種別・企業別・年齢別】では、自社開発企業の年収水準について詳しく解説しています。
転職を成功させるための準備
自社開発への転職を成功させるためには、戦略的な準備が不可欠です。

スキルと経験の棚卸し
まず、SESで培った使えるスキル・経験を言語化することが重要です。客先常駐での経験は一見バラバラに見えても、実は多くの価値があります。「複数の開発環境に適応できる柔軟性」「異なるチームでのコミュニケーション能力」「様々な技術スタックの経験」など、自社開発でも活かせる強みを明確にしましょう。
技術面では、具体的なプロジェクトでの成果を数値化することが効果的です。「既存システムの改修により処理速度を30%向上させた」「チーム内でコードレビューの仕組みを提案し、バグ発見率を20%改善した」など、客観的な実績を示すことで、自社開発企業の採用担当者に評価されやすくなります。
志向性と熱意の整理
経験が浅い段階で自社開発企業への転職を目指す場合は、スキルの高さよりも「なぜ自社開発に挑戦したいのか」「どのように成長したいのか」といった志向性や熱意をアピールすることが重要です。
自社開発への転職理由を明確にし、面接で説得力を持って伝えられるよう準備しましょう。「ユーザーと直接向き合いながらサービスを育てたい」「長期的にプロダクトに関わり、技術的な深さを追求したい」など、具体的なキャリアビジョンを語れることが大切です。
ポートフォリオの作成
自社開発企業では、実際のコーディング能力を重視する傾向があります。GitHubでの個人プロジェクトや、技術ブログでのアウトプットは、あなたの技術力とモチベーションを示す重要な材料になります。
特に、自分が興味のある技術領域でのプロジェクトを持つことで、「この技術スタックで開発したい」という意欲を具体的に示すことができます。完璧なプロジェクトである必要はなく、継続的に学習し、改善している姿勢が評価されます。
IT転職の履歴書・職務経歴書の書き方ガイドでは、職務経歴書の効果的な書き方を詳しく解説しています。
自社開発企業の選び方
自社開発企業への転職では、SES企業を選択した時よりも慎重に企業を選ぶ必要があります。

技術スタックの確認
自社開発では、一つのプロジェクトを長く担当するため、限られたスキルしか使用しない可能性があります。そのため、企業が使用している技術スタックが、あなたのキャリアプランと一致しているかを必ず確認しましょう。
最新の技術トレンドに対応しているか、レガシーシステムの保守が中心なのか、技術的負債にどう向き合っているかなど、技術面での企業の姿勢を見極めることが重要です。面接時に「現在使用している技術スタック」「今後導入を検討している技術」「技術的意思決定のプロセス」などを質問することをおすすめします。
開発組織の成熟度
開発プロセスが整備されているか、コードレビューの文化があるか、テストの自動化が進んでいるかなど、開発組織の成熟度も重要なチェックポイントです。成長段階のスタートアップでは、まだ体制が整っていないこともありますが、その場合は「これから作っていく楽しさ」と「体制不備によるストレス」のバランスを考慮する必要があります。
ワークライフバランス
自社開発だからといって、必ずしも働きやすい環境とは限りません。特にスタートアップやグロース段階の企業では、長時間労働が常態化していることもあります。口コミサイトやOpenWorkなどで実際の働き方を確認し、面接時には具体的な残業時間や休日出勤の有無を質問しましょう。
事業の将来性
自社開発では一つのサービスに長く携わるため、そのサービスや事業の将来性も重要な判断材料です。市場のニーズがあるか、競合優位性があるか、ビジネスモデルは持続可能かなど、エンジニア視点だけでなく、ビジネス視点でも企業を評価しましょう。
SE(システムエンジニア)転職の完全ガイドでは、転職先企業の選び方について包括的に解説しています。
転職活動の進め方
自社開発への転職活動は、戦略的に進めることが成功の鍵です。

転職エージェントの活用
自社開発企業の求人情報は、一般の求人サイトには掲載されていないことも多くあります。IT業界に特化した転職エージェントを利用することで、非公開求人にアクセスでき、企業とのマッチング精度も高まります。
エージェントには、「なぜ自社開発に転職したいのか」「どのような技術スタックで働きたいのか」「年収や働き方の希望」などを明確に伝えることで、より適切な求人を紹介してもらえます。
IT転職エージェント徹底比較【おすすめランキング】では、自社開発企業への転職に強いエージェントを紹介しています。
面接対策の重要性
自社開発企業の面接では、技術的な深さだけでなく、カルチャーフィットも重視されます。「なぜこのサービスに興味を持ったのか」「どのように貢献できるか」を具体的に語れるよう準備しましょう。
技術面接では、コーディング課題やアルゴリズム問題が出されることもあります。LeetCodeやAtCoderなどで基礎的なアルゴリズムの練習をしておくと安心です。また、これまでのプロジェクトでの技術的な判断や、困難に直面した際の解決方法を説明できるよう、事前に整理しておきましょう。
複数社への同時応募
一社ずつ応募するのではなく、同時に複数社へ応募することで、比較検討の機会が増え、より良い条件での転職が可能になります。ただし、応募しすぎて面接対策が疎かになることは避け、5〜8社程度を目安にすると良いでしょう。
現職との並行
転職エージェントのデータによると、88%のエンジニアが働きながら転職活動を行っています。現職を続けながら転職活動をすることで、経済的な不安を軽減し、焦らずに自分に合った企業を見つけることができます。
IT転職の面接対策完全マニュアルでは、自社開発企業の面接で評価されるポイントを詳しく解説しています。
転職後のキャリア形成
自社開発への転職は、新たなキャリアのスタート地点です。
入社後の心構え
客先常駐から自社開発に転職すると、働き方の違いに戸惑うこともあります。プロジェクトの長期性、チームの固定性、意思決定プロセスの違いなど、新しい環境に適応するための柔軟性が求められます。
最初の数ヶ月は、コードベースの理解やチームの開発フローに慣れることに集中しましょう。焦らず、一つずつ確実にキャッチアップすることが、長期的な成功につながります。
継続的なスキルアップ
自社開発では、使用する技術スタックが固定されがちなため、意識的にスキルの幅を広げる努力が必要です。社内の勉強会への参加、技術カンファレンスへの登壇、個人プロジェクトでの新技術の試用など、継続的な学習を習慣化しましょう。
市場で広く必要とされるスキルが身につかず、他社で通用しないエンジニアになってしまうリスクもあるため、常に市場価値を意識したスキルアップが重要です。
キャリアパスの選択
自社開発では、テックリード、エンジニアリングマネージャー、プロダクトマネージャー、CTOなど、多様なキャリアパスがあります。自分の強みや興味に応じて、将来のキャリアを見据えた行動を取ることが大切です。
定期的に上司や先輩とキャリアについて相談し、必要なスキルや経験を計画的に積んでいくことをおすすめします。
ITエンジニアのスキルアップ戦略【学習と成長】では、自社開発エンジニアとしての成長戦略を詳しく解説しています。
まとめ
客先常駐SEから自社開発への転職は、適切な準備と戦略があれば十分に実現可能です。年収アップ、働き方の自由度向上、サービス開発の面白さなど、多くのメリットがある一方で、企業選びを慎重に行い、継続的なスキルアップを怠らないことが成功の鍵です。
実際、転職者の81%が年収アップを実現しており、多くのエンジニアが自社開発でのキャリアに満足しています。あなたも自分のキャリアビジョンを明確にし、戦略的な転職活動を進めることで、より充実したエンジニアライフを手に入れることができるでしょう。
転職は人生の大きな決断ですが、恐れずに一歩を踏み出すことで、新たな可能性が開けます。この記事が、あなたの転職成功の一助となれば幸いです。



